ソーシャルビジネスの事例8選!様々なソーシャルビジネスの事例を紹介!

ソーシャルビジネスとは、社会課題解決を目的としたビジネスのことです。ソーシャルビジネスを行う企業の事を「社会的企業」、ソーシャルビジネスを立ち上げる人を「社会起業家・ソーシャルアントレプレナー」と呼びます。また、事業収入が主な収入源となっているNPO法人を「事業型NPO」と呼び、これもソーシャルビジネスの事業にあたります。

今回は、そんな社会的企業や社会起業家・ソーシャルアントレプレナーたちが行っているソーシャルビジネスの事例一覧について、多様な業種から8つをピックアップして紹介していきたいと思います。

目次

① AMOMA:海外の貧困問題改善のためのハーブティーブランド

画像参照:https://www.amoma.jp/

AMOMAは、ミャンマーで借金から抜け出せない環境にいる小規模農家を支援するためのソーシャルビジネスです。

小規模農家は、季節や天候、市場の需給による作物価格が変動などによって、収入が不安定になりがちです。毎月の生活のため借金に頼ってしまう農家も多く、貧困の負のスパイラルが生まれています。また、海外の小規模農家は農業技術が未熟のため、農薬に頼った栽培によって農家自身が健康被害に陥ってしまうこともあります。

そこでAMOMAでは、無農薬ハーブの栽培支援を行い、収穫したものは全て固定価格で買い取っています。このビジネスアイデアにより、現地の農家は農薬に頼らず安定した収入を得る事に成功し、子ども達を学校に通わせることもできました。

買い取ったハーブは、母乳育児をする母親向けのハーブティーにして販売しています。授乳期の母親はなるべくカフェインを取らない方が良いとされているのですが、カフェインレスな嗜好品はなかなかありません。そこでAMOMAでは、ノンカフェインでリラックスできるハーブティーを開発し、オンラインストアにて販売を行っています。ハーブティー自体もかなり評判が高く、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2014」を受賞しています。また、病院・助産院とも提携しており、退院のプレゼントとして無料でサンプル品の提供も行っています。

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② TABETE:食品ロスを削減するフードシェアリングサービス

画像参照:https://tabete.me/

TABETEは、食材が余ったお店と食べたい消費者を繋ぎ、割安で料理をテイクアウトできるソーシャルビジネスです。

日本では年間643万トンの食品が、食品ロスとして廃棄されていて、大きな日本の社会問題となっています。SDGs的な社会問題だけでなく、食品ロスを削減できれば日本の食糧自給率上昇にも繋がります。

そこで、食品ロスを削減しつつお店の売上を増やす仕組みとして、TABETEが用いられています。食材が余ってしまったお店がTABETEアプリに出品すると、それを見たユーザーから注文が入ります。ユーザーが指定の時間に料理を受け取りに来ることで、TABETEを通してお店に代金が振り込まれる仕組みです。

お店側はTABETEを通して、廃棄・返品の経費削減を行えるほか、普段は接点を持ちにくい新規顧客と繋がりを持てる機会にもなります。TABETEを通して「美味しい」と感じたユーザーが、再度リピーターとしてそのお店の商品を購入したという事例も紹介されています。

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③ おてつたび:お手伝い×旅の地域活性化事業

画像参照:https://otetsutabi.com/

おてつたびは、旅をした先の地域でお手伝いをすることで賃金を得られるソーシャルビジネスです。

日本の地域は、豊かな自然や文化などの魅力がある一方で、深刻な人手不足に悩まされています。特に農作業や宿泊業の繁忙期には、通常よりも多くの人手が必要になります。

この問題を解決するため、おてつたびでは「日本各地を旅したい人」と「人手を求めている地域」をマッチングし、地域の人手不足解消を目指しています。ユーザーは農作業や宿泊業などのお手伝いを行うことで、最低賃金以上の報酬を受け取ることができ、寝床も無料で提供してもらえます。地域の人は、必要に応じて労働力を募集することができ、固定費の圧縮に繋がるだけでなく、熱量の高い若者との交流も行うことができると高い評判を得ています。

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④ ブローレンヂ:ジェンダーフリーのかわいいお洋服ブランド

画像参照:https://blurorange.jp/

ブローレンヂは、性別や体型に縛られず誰もがかわいい服を着られる社会を目指すソーシャルビジネスです。

創業者で社会起業家のブローレンヂ智世さんは、中学生の頃は男の子になりたいと思っていたため、性同一性障害の方でも好きな服が着れるようにしたいと考えていました。しかし、男性が女性物の洋服を着ようとすると、骨格の違いから綺麗に見えないという問題があります。そのため、女性として表現したい男性が、かわいく見える服を見つけるのはとても難しいです。

そこでブローレンヂでは、同じ服でもメンズとレディースで異なる調整を施しています。認知倫理学の錯視を利用し、男性の肩幅が目立たないようなデザインにしたり、ふわっとしたスカートになるように調整することで、男性が着ても美しいシルエットが出る洋服の制作に成功しました。

また、服のモデルは男性・女性両方を用意することで、自分で着てみた際の例になるようなマーケティングを行っています。現在はオンラインショップにて、パニートやワンピース、ブラウス、スカートなどを販売しています。

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⑤ LITALICO:障がいを持った方向けの就労支援サービス

画像参照:https://litalico.co.jp/

LITALICOは、障がいを持った方向けの就労支援のソーシャルビジネスです。

現在日本には、377万人の障がいを持った労働可能人口がいるとされています。しかし、その中で働いているのはわずか14%で、残りの86%は就労できていない現状があります。その理由の多くが、就職活動によるプレッシャーから来る自己肯定感の低下と考えられています。

そこでLITALICOでは、未就労の障がいを持った方向けに、しっかりとしたビジネススキルワークショップや各自が好きと思えるような仕事の斡旋、働いた後のメンタルケアまで含めた就労支援事業を行っています。それぞれのニーズに合わせた研修や支援サービスを手厚く提供しているため、就労者の定着率が91.3%と高く、安定した売上を上げることが可能となっています。

また、LITALICOでは障がいを持った方への理解が深いスタッフが多いという利点を活かし、障がいを持った子ども向けの学習教室や障がいを持った方向けのメディアなどの社会的事業も行っています。

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⑥ Looop:再生可能エネルギーの発電から供給までを一貫して手がけるサービス

画像参照:https://looop-denki.com/home/

Looopは、再生可能エネルギーの発電所の保守・開発から電力の輸送まで全てを手がけるソーシャルビジネスです。

日本で最もCO2を排出しているものは火力発電で、実に日本全体のCO2排出量の40%を占めています。欧米と比べて日本で再エネが普及しない理由は、山の多い地形や地震・台風など頻発する自然災害、発電量が少ない時に諸外国から電気を送ってもらう送電網が無いことなどが挙げられます。また、日本では再エネに必要な資材を輸入に頼っており、太陽光パネルの単価・設置費用が割高となっています。

そこでLooopでは、再エネ普及のため以下の3つの事業を展開しています。

【課題1】国土が狭く、平坦な土地が少ない
【解決策】住宅地や工場の屋根に置ける太陽光パネルの開発

【課題2】天候に左右されて発電量が不安定
【解決策】蓄電池の開発、需給バランスに基づいた電力使用量調整システムの開発

【課題3】導入費用が高価
【解決策】初期費用0円で太陽光パネルを導入できるサービス

発電から蓄電・給電までを一貫してサービスを行う事でコストを削減したビジネスアイデアにより、再エネ電気を比較的安価で消費者に提供しています。

Looop (ループ) |
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⑦ コングラント:非営利団体の寄付調達・ファンドレイジングを手伝うサービス

画像参照:https://congrant.com/

コングラントは、NPO法人や非営利団体の寄付金調達の支援を手がけるソーシャルビジネスです。

多くのボランティアやNPOは、売上を立てずに活動しているため、経費は自費持ちとなります。そのため、活動範囲を広げることができなかったり、出費がかさみ社会貢献活動が継続できなくなる事例が数多く存在します。これらの非営利団体は、活動資金調達のために寄付を募ろうとしますが、寄付サービスを構築するのにもお金がかかり、自前のサービスでは潜在顧客に認知してもらえないという課題があります。

そこでコングラントでは、非営利団体が無料で使える寄付金募集サービスを展開しています。現在、HPの団体一覧では1600団体が登録しており、優良な社会貢献活動をしている団体に寄付をしたい潜在顧客のプラットフォームとなっています。売上はカード決済手数料のほか、2種類の有料プランで賄っています。有料プランでは、専門のスタッフがファンドレイジングのマーケティング支援を行ってくれます。

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⑧ Schnitzer Steel Industries Inc:サステナブル企業ランキング2023で世界1位に輝いた、金属リサイクル事業

画像参照:https://www.schnitzersteel.com/

Schnitzer Steel Industries Inc(シュナイツァー・スチール・インダストリーズ)は、自動車や家電・橋などの解体スクラップをリサイクルし、新たな鉄鋼製品に生まれ変わらせるソーシャルビジネスです。

従来、金属スクラップの廃棄処理は途上国で行われることが多く、有毒な金属を人の手で分別していたり、そのまま埋め立てられたりしてきました。その結果、健康被害土壌汚染が多発したため、多くの国では金属スクラップの輸入を禁止しました。

そこで行き場を失った金属スクラップを、シュナイツァーが買い取り、専門のシステムでリサイクルを行っています。雑多な金属スクラップを機械で全て粉砕した後、自動で金属種類別に選別し、新たな金属に生まれ変わらせます。ここでリサイクルした金属は、国内外の業者に販売されたり、自社内での100%リサイクルの鉄鋼製品を生産に用いられています。これらのシュナイツァーの工場は、水力発電を基にした電力で運営されています。

シュナイツァーは、4年間でCO2を24%削減したこと、従業員の負傷率が大幅に低下したこと、CEOの報酬が環境負荷目標の達成率と結びついている事、ジェンダー平等や人種の多様性が成されていることなどでSDGsへの貢献度が高いだけでなく、年間利益額は歴代2番目を記録しました。これらの要素から、シュナイツァーは2023年のサステナブル企業ランキングで世界一位を達成しました。

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まとめ:世界には多様なソーシャルビジネスが存在する

今回の記事では、社会問題の分野が偏らないよう、多様なジャンルの社会的事業の事例を紹介してきました。この他にも、高齢者向けDX事業の取り組みを行う「オースタンス」や、空き家と貧困問題の取り組みを行う「Renovate Japan」などのソーシャルベンチャー、事業型NPO法人の「ETIC」など、今回例として紹介しきれなかった様々な社会的企業が存在しています。

また、海外では有名な大企業が社会課題解決のためのソーシャルビジネスを手がけている例も存在します。ソーシャルビジネスとは社会課題解決のためのビジネスであるため、有名な大企業やソーシャルベンチャー・NPO法人など様々な企業が行うことで、より一層世界の・日本の社会問題が解決されていきます。

ソーシャルエッグでは、そんなソーシャルビジネスの企業一覧の紹介や、社会起業家へのインタビュー、最新のソーシャルビジネス情報などをわかりやすく紹介しています。もしよろしければ、ぜひそちらもご覧ください。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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