今回は、「ゲームの力を活用し、より良い未来へ」をビジョンに掲げ、シリアスゲーム事業を行われている、株式会社ゲーム・フォー・イットの後藤さんに話を伺ってきました。
- シリアスゲームに関心を持っている方
- 社会課題解決に対してゲーミフィケーションを組み込みたいと考えている方
- ゲームを通じた社会課題解決の実例を知りたい方
は、ぜひ読んでいただけたらと思います!
プロフィール
【名前】
後藤 誠
株式会社ゲーム・フォー・イット
【経歴】
東京理科大学 工学部電気工学科 ⇒ 株式会社ウインズ ⇒ フリーランスのゲームプログラマ ⇒ 株式会社スクウェア(現株式会社スクウェア・エニックス) ⇒ マッチロック株式会社 ⇒ 2018年に株式会社ゲーム・フォー・イットを創業

認知症の祖母の介護から、ゲームを用いて社会に良いことをしたいと思った
―――本日はよろしくお願い致します。ゲームを用いた社会課題の解決があるとHPで拝見し、とても興味を持ちご連絡させて頂きました。まずは、後藤さんがシリアスゲームに興味を持ったきっかけや、その経歴などをお伺いさせていただけますでしょうか?
はい。私は中学生~高校生の頃、認知症の祖母の介護を母と一緒にしていたこともあり、福祉の分野に興味がありました。また、当時からプログラミングやゲームに関心があり、ゲームとプログラミングばかりやっているオタクな中高生時代でした。
その後ゲームプログラマーになり、当時セガから発売された「PICO」という教育玩具のローンチタイトル制作に携わりました。PICOは子供向けの電子教育玩具で、お絵描きや絵本との連携機能などが付いており、様々な教育ソフトが発売されました。そこで、ゲーム×教育というサービスの力強さを目の当たりにしました。
その後、スクウェア・エニックスに転職しまして、そこでCEDECというゲーム業界のカンファレンスに参加した際に「シリアスゲーム」という概念を知りました。アメリカやオランダ、フランスではシリアスゲームという分野が大きなビジネスとなっており、その事例を知ったとき大きな衝撃を受けました。点と点が繋がって線となったというか、今までの介護の経験や教育ソフトの開発経験が1つになり私の進みたい道が示されたような衝撃でした。その後、シリアスゲームに関するカンファレンスやシンポジウムに参加するようになり、いつしか「いつかシリアスゲームを軸にした会社を建てたい」と思うようになりました。
そこから十数年後、2018年にシリアスゲームを主軸にした「株式会社ゲーム・フォー・イット」を創業し、今に至ります。
シリアスゲームとは?シリアスゲームの意味とその実例を紹介
―――改めてのお伺いになってしまうのですが、そもそもシリアスゲームとはどういったものなのでしょうか?
シリアスゲームとは、教育や社会問題の解決を主目的とするコンピューターゲームのことです。
―――シリアスゲームがよくみなさんに知られている一例として、どのようなものがありますか?
ゲーム会社さんが出している例を挙げますと、任天堂さんの「脳トレ」「えいご漬け」「リングフィットアドベンチャー」「はじめてのゲームプログラミング」がありますね。コナミさんの「桃太郎電鉄 教育版」は、何万校もの学校で授業に取り入れられています。
また厳密にはシリアスゲームとは言えないと思いますが、ベネッセさんや学研さんも、ゲーミフィケーション要素を教材に入れていて、タブレットの中で遊ぶように教育ができる形を作っています。
―――最近は、マインクラフトが学校の授業で取り入れられているという話もありますね。
そうですね。教育版マインクラフトというものがありまして、そこでプログラミングを教えたり、クラスメイトとの共同制作を学んだりすることができます。
私の会社では、大学教授とヘルスケアのゲームを作ったり、パチスロの会社からの依頼でギャンブル依存症対策のゲームを作ったりしました。また、生活習慣病予防のゲーム開発や、複数の大学のシリアスゲームプロジェクトの監修なども行っています。最近ですと、子供の暗算力を鍛える「Tashikani」(タシカニ)というゲームをリリースしました。


―――様々な社会課題に対して取り組んでいらっしゃるのですね!他にも現在進行形の事業はありますでしょうか?
今現在は、まだ詳しくは言えませんが、大学の先生と一緒に看護学生向けのゲームなど、複数のプロジェクトが進行しています。


また、学生時代の介護の経験から認知症対策に取り組みたいと考え、創立当初から認知症予防の先生と一緒にゲームを開発しています。開発は完了しておりまして、今はどう販促に繋げていこうかと悩んでおります。
近年、日本でもシリアスゲームを取り扱う企業・自治体が増えている
―――近年では、セガXDさんのような、シリアスゲームを専門で行うゲーム会社が増えてきました。そこに対して後藤さんなりの考えはありますでしょうか?
それはもう、素晴らしいことだと思います。
これまで、スクウェア・エニックスと学研が共同設立した「SGラボ」や、バンダイナムコゲームスと電通が共同で行った「SPECIAL FLAG」などがありました。両者とも素晴らしい取り組みで私は注目していたのですが、継続が難しかったようです。
今回セガさんは、電通さんと組んで2020年にセガXDを設立したのですが、もう5年以上その取り組みは続いています。セガXDさんの事業例はあまり公で取り上げられていないのですが、かなり様々な取り組みをされており、私は心から応援しております。中には大手の企業や自治体などもあると聞いています。
―――一般企業や自治体なども、ゲーム会社と組んでくれるのですね。
そうですね。昔ファミコンやスーファミで遊んでいた世代が、現在50代~60代になり決裁権を持つ立場になっています。そういった方々が、ゲームのポジティブな側面を自社に取り入れようという流れを生み出しているのかもしれません。
セガXDさんのゲーミフィケーションカオスマップの制作に、私も制作委員の一人として携わらせて頂いたのですが、3年前と比べてゲーミフィケーションを活用している企業さんは目に見えて増えていて、収益も上がってきています。ゲーミフィケーションや、シリアスゲームがきちんとビジネスとして成り立ちつつあり、今後数年でさらに市場は広がっていくと思います。
ゲームが全然足りていない!今後はシリアスゲームを作る会社を増やしていきたい
―――ありがとうございました。最後に、後藤さんが今後行っていきたいことについて伺えますでしょうか?
まずは今取り掛かっているプロジェクトをしっかりリリースすることですね。
その先としては、多くの困っている人をゲームを活用し少しでもその社会課題の解決になる活動をしていきたいです。
例えば私の原体験である認知症という分野では、認知症の本人だけでなくその家族までサポートできるゲームがあればいいなと思っています。防災という分野では、被災者本人だけでなく二次被災者以降にもアプローチできるゲームが必要だと考えています。子供向けのITリテラシーのためのゲームや、若者向けの闇バイトの危険性を学べるゲームや、貧困の連鎖を断ち切るためのゲームや、外国人向けの日本での暮らし方など、作りたいゲームの題材はたくさんあります。
そのためには、まだまだゲームが世の中に足りておらず、私だけでなくシリアスゲームを作る会社やクリエイターをもっと増やしていかなければと考えています。シリアスゲームに取り組むベンチャー企業は増えてきておりますので、その流れを加速させていければと考えています。
まとめ:シリアスゲームは単なる娯楽でなく、社会課題の解決を第一にしたゲームだった
今回は、株式会社ゲーム・フォー・イットの後藤 誠さんに、シリアスゲームの意味とその活用先などをお伺いさせて頂きました。
ゲームと聞くと遊びや娯楽という印象を持ってしまいますが、シリアスゲームはれっきとしたソーシャルビジネスで、社会課題の解決を第一に考えて作られています。楽しみながら課題に向き合えるシリアスゲームが、今後より一層増えていったら良いなと思いました。
ソーシャルエッグでは、ソーシャルビジネスを行っている人・社会起業家の記事が他にもたくさん用意しています。社会に良い事業に興味がある方は、ぜひ他の記事も読んでみて下さいね!

