途上国にいながら遠隔で眼科診療が受けられる「Smart Eye Camera」

白内障という病気は、早期診断と定期診療を行えば失明までは至らない可能性が高い疾病だ。しかし、世界4400万人の失明人口のうち、その半数以上が白内障によるものだ。

なぜなら、失明人口の90%は発展途上国の国民で、「眼科医がいない」「診断・治療器具がない」といった理由から適切な医療を受けられていないからだ。

そこで、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業「OUI Inc.」はスマホアタッチメント型眼科診療機器「Smart Eye Camera (SEC)」を開発した。


OUI創業者の眼科医3名はベトナムの農村を訪れた際に、現地の医師が細隙灯顕微鏡の代わりにスマホのライトで診察を行っていた姿を見た。その際、「スマホの光で適切な診察を行える機器を作れないか」と考え、SECの開発に着手した。その後、約1年半でSECを完成させた。

SECはスマホのカメラ部分に取り付けることで、眼瞼・角結膜・前房・虹彩・水晶体・硝子体の観察を行う事が可能だ。このデータを遠隔の眼科医師に送信することで、白内障や角結膜炎などを診断できる。

また、SECは3Dプリンタで製造されているため、細隙灯顕微鏡よりもはるかに安価に届けられる。さらに、SECの白内障の診断性能は細隙灯顕微鏡と同等と実証されており、性能は申し分文ない。


OUIは現在、SECを用いて途上国の眼科治療支援を行っている。マラウイやケニアにて、遠隔眼科診療を行い、現地の眼科医と提携して途上国に眼科医療を届けている。この仕組みがより多くの地域に広がり、失明者が少なくなることを望む。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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