駐日パレスチナ常駐総代表部にて行われた、チャリティ・パレスチナ刺繍ワークショップを取材!

日時:2024年4月27日
場所:駐日パレスチナ常駐総代表部

今回は、パレスチナの刺繍ワークショップ&ミニバザーが行われたSTITCH FOR PALESTINE Part Ⅳ~チャリティ・パレスチナ刺繍ワークショップ&ミニバザーを取材させて頂きました。

  • パレスチナはどのような現状になっているのか
  • パレスチナ刺繍とは
  • 実際のワークショップの様子

などを伺ってきました。現在のパレスチナ情勢に関わることでもあるため、ぜひ最後までお読み頂ければと思います。

目次

STITCH FOR PALESTINE ~チャリティ・パレスチナ刺繍ワークショップ&ミニバザーとは

STITCH FOR PALESTINEは、ガザでの紛争が発生した2023年末から実施されているチャリティーイベントだ。

パレスチナ刺繍について参加者に教えるとともに、パレスチナの歴史や紛争の現状などを知ってもらうことを目的としている。

これまで計3回実施されており、今回の実施は4回目にあたる。

本イベントはパレスチナの人々のためのファンドレイジングとして実施されており、参加費から経費を除いた資金はパレスチナ支援へ寄付される。

パレスチナの現状を、ワリード・シアム大使から伺う

今回のワークショップは、南麻布にある駐日パレスチナ常駐総代表部にて開催された。

ここは、パレスチナ自治政府の政府代表部であり、パレスチナを国家として未だ認めていない日本における事実上の大使館にあたる場所だ。

開催にあたって、ワリード・シアム大使は以下の言葉を述べた。

現在、ガザ地区だけで1日200人以上のパレスチナ人が殺害されています。

これは、イスラエルによるジェノサイドであり、罪のないパレスチナ人が毎日のように殺害されています。

日本を含む国際社会の国々は、ガザやパレスチナの人々が持続的に暮らせるような人道支援を即座に行うべきです。

ジェノサイドを単に非難するだけではなく、パレスチナの平和のために今、行動するべきです。

ワリード・シアム駐日パレスチナ常駐総代表部大使

また、マーリ・シアム夫人からもお言葉を頂き、夫人からパレスチナの伝統的なマラミーヤ(セージ)のお茶とデーツを使ったマドレーヌが振舞われた。

マーリ・シアム夫人からのお言葉

パレスチナと刺繍の関係性、その歴史

その後、本ワークショップ主催者の山本真希氏から、パレスチナ刺繍についての説明が行われた。

山本

パレスチナの刺繍は元々、どこの村の出身なのか、どの階級に属しているのかなどを示す身分証明書のようなものでした。

しかし、1948年の第一次中東戦争後から、その役割は大きく変わってしまいました。

山本

中東戦争後、パレスチナの人々はイスラエルに抑圧されることが多くなり、市民は一斉蜂起(インティファーダ)を起こすようになりました。

市民は抗議運動によってイスラエル軍に立ち向かいましたが、数万人が逮捕され300人超が死亡するという事態に発展。イスラエルはインティファーダを抑えるため、市民にパレスチナ国旗を掲げることを禁じました。

山本

そこで、パレスチナの女性たちは衣服に国旗の刺繍を施し始め、インティファーダドレスというものが生まれました。

そこから刺繍は、パレスチナの大切な文化であると同時に、イスラエルへの抵抗を表すものとなりました。

山本

今現在は、難民キャンプの女性たちがNGOの支援を受け、パレスチナ刺繍の制作と国外への販売を行っています。

紛争の影響でパレスチナ刺繍を求める方は海外の人が増え、現在は海外の方向けのポーチやハンカチなどに施す刺繍デザインも増えてきています。

会場外のバザーで販売されていた、パレスチナ刺繍のポーチ①
会場外のバザーで販売されていた、パレスチナ刺繍のポーチ②

パレスチナ刺繍ワークショップの様子

その後、参加者の方々にステッチと針・糸が配られ、ワークショップが開始した。

今回のワークショップではブローチとショールピンの2種類のうち、どちらか1つを制作した。

画像左がブローチ、右がショールピン

各参加者には、制作方法を示したリーフレットが配られ、このリーフレットを元に制作を進める。

参加者は計29名で、うち3~4割が外国の方。普段から刺繍を嗜まれる方が多いのか、みなさん手際よく刺繍を進められていた。

中には、刺繍の一部の箇所をオリジナルの配色にしている方もおり、各自のアイデアを活かしたデザインを作られていた。

開始から約2時間後、ステッチが出来上がった。その後、ステッチをショールピン・ブローチに成形して完成だ。

制作途中の様子
参加者の方が作り上げたブローチ

参加者の方々からは、「夢中でのめり込んでしまい、すごく楽しかった」「ポーチのワンアクセントにとても良い柄になって嬉しい」「パレスチナ刺繍の伝統の片鱗を感じられた」という声が聞かれた。

山本氏は「今回のワークショップの売上は、パレスチナの人々に寄付されます。これから少しでも、パレスチナへ関心を持って頂ければと思います。」と語った。

まとめ:パレスチナ刺繍はパレスチナ人のアイデンティティー

今回は、『STITCH FOR PALESTINE Part Ⅳ~チャリティ・パレスチナ刺繍ワークショップ&ミニバザー』を取材させて頂きました。

日本のニュースでは見る事のないパレスチナの実情を知ったとともに、刺繍がパレスチナ人にとってのアイデンティティ-であることを学びました。

また、空爆によって刺繍工場が爆破・閉鎖に追い込まれるなど、刺繍文化の存続も大きな問題となっていることを知りました。パレスチナ刺繍を通じて、多くの方にパレスチナの現状を知って頂ければと思います。

ソーシャルエッグでは、社会に良い事業やソーシャルグッドな活動を行っている人のインタビュー記事を他にもたくさんご用意しています。社会に良い事に興味がある方は、ぜひ他の記事も読んでみて下さい。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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