今回はMYCL Japan広報担当の、伊藤さんにインタビューを行いました。
- 環境に優しい商品に興味がある方
- 新しいエコ素材である、マッシュルームレザーMYCLについて詳しく知りたいという方
はぜひ読んでいただけたらと思います!
【名前】
MYCL Japanの代表取締役社長:乾 馨太
【年齢】
41歳(2023年6月現在)
【経歴】
ニューサウスウェールズ大学 国際ビジネス学部/アジア学部 ⇒ オーストラリアに留学し8年滞在 ⇒日本に戻り、株式会社SALAI International Japan(海外向け日本のキノコ栽培技術をリブランディングする)を立ち上げ ⇒ キノコ業界を盛り上げるべく、日本の3社とインドネシアの会社でMYCL Japanを共同創業
【携わっている事業内容】
MYCL Japan:菌糸からレザーを作るマッシュルームレザーMYCLを手がける企業
趣味を仕事にしたい、大好きなキノコの業界の衰退を回避したいという思いからMYCL Japanを創業
本日はよろしくお願い致します。
ではまず、社長である乾さんの経歴について、お聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?
はい。乾はオーストラリアに8年間留学・滞在した後、数年前に日本に戻りました。その際、自分の興味のある分野で事業を始めたいと思ったとき、キノコに関する会社を立ち上げようと考えました。そこで、アメリカやヨーロッパのキノコ農家に日本のキノコ栽培技術を提供する会社「株式会社SALAI International Japan」を立ち上げました。
この会社を運営していく中で、キノコ業界が衰退していることに危機感を抱き始めました。
そこで、キノコをより盛り上げられるような新しい事業を始めようと考えた際に、インドネシアでキノコの菌糸からマッシュルームレザーを作っているMycotech Labと出会いました。この技術を初めて見た際、マッシュルームレザーがキノコ業界をもっと盛り上げるのに最適な技術だと確信しました。そして、数か月で日本の3社とMycotech Labを合併し、MYCL Japan株式会社を創業しました。
マッシュルームレザーの技術を持っているインドネシアの会社と、日本の3社が合併してMYCL Japanができたということですが、日本の会社はどのような技術を持っているのですか?
日本側の会社は優れたキノコの栽培技術を持っています。マッシュルームレザーはキノコの菌糸を培養して作る素材です。そのため、日本が持つキノコの栽培技術が大切になってくるのです。
キノコの菌糸とは:菌類の体を構成する、糸状の構造のこと。 一般にいうカビやキノコなどは、主に菌糸が寄り集まったもので構成される。
つまり、インドネシアの会社が持つマッシュルームレザーのノウハウと、日本の会社が持つキノコ栽培のノウハウを合わせた会社が、MYCL Japanなのですね!
とても環境に優しいマッシュルームレザーMYCLを使ったコンパクト財布「IVY」(アイビー)、ミニトート「GINAbaby」
では、今回発売する2つの商品を教えてください。
はい、まず、今回の2つの商品は、FUMIKODAさんと弊社の共同開発商品となります。
FUMIKODAは、機能的でデザイン性が高く、できるだけ環境に負荷がかからないビジネスバッグを日本で生産したいという想いで立ち上げられたブランドです。弊社のマッシュルームレザーMYCLは、動物性原料を使用せず、プラスチック樹脂も極力使用しておらず、本体の成分は100%菌糸で育てて環境に優しいということから、FUMIKODAさんからお声がけを頂きました。
そして、弊社のマッシュルームレザー技術と、FUMIKODAさんのデザイン力、縫製する工房の職人の技術を結集し、100%天然素材で出来たマッシュルームレザーの財布とトートバッグが完成しました。
詳しくはこちらの記事を見てくださると嬉しいです。
承知しました。
マッシュルームレザーMYCLの本体の成分は100%菌糸でできているということですが、今回の商品であるミニトートや財布のマッシュルームレザーMYCL部分も、ほぼ菌糸からできているのですか?
はい、マッシュルームレザーMYCLを使用した部分は、表は100%菌糸、裏地は100%コットンでできています。表裏ともに極力環境に負荷をかけない製品作りを行っています。
なるほど、素晴らしいですね!
人の手が加わっていない、自然由来の菌糸そのままの柄をぜひ味わってほしい
今は商品は1色の展開ですが、今後、色やデザインの展開をしていく予定はありますか?
草木染で色の展開は可能ですが、デザイン(柄)の指定はできません。
というのも、弊社の商品では、「人の手が入っていない、天然の価値を感じて欲しい」と考えています。例えば、ミニトート「GINAbaby」のバッグにはまだら模様がありますよね。これは、私たちが一切手を加えず、菌糸の力のみで描かれた模様です。
なるほど、このバッグにあるまだら模様は、菌糸の力によるものだったのですね。
では、全てのミニトートがこの写真と同じ模様ではない、ということでしょうか?
そうですね。ミニトートそれぞれ模様は異なります。世界で1つだけのミニトートをお客様にぜひ手に取って、感じていただきたいです。
今回の商品の価格は、どのように決められたのでしょうか?
天然性にこだわっている唯一無二のエチゾチック素材であるためハイエンドの市場価格になっております。
なお、今後量産体制を整えることを通してよりお手頃な価格のマッシュルームレザーMYCLを提供できるようにしていこうと考えています。
キノコに抵抗感がある方でも大丈夫!マッシュルームレザーMYCLはキノコではなく、キノコになる前の菌糸でできている
お客様の中には、キノコの皮で作られた鞄からキノコが生えてこないか、という抵抗感を持つ方もいらっしゃるのでしょうか?
そうですね、そうした抵抗感に関してのお問い合わせはありますね。
しかし、マッシュルームレザーは特殊な技術で菌糸を育てて作るため、生地に含まれる菌糸は生きていません。そのため、生地からキノコが生えることはありません。ご安心ください。また、素材名は「マッシュルーム」レザーですが、スーパーで売られているようなキノコの皮から作られているわけではありません。
なるほど、もう少し詳しく説明していただけますか?
マッシュルームレザーMYCLは、私たちが普段食べているキノコそのものではなく、キノコの「菌糸体」から作ります。菌糸体とは、キノコの体を構成している糸状の細胞(菌糸)の集まりです。菌糸体が土壌や木材の中に拡がることで水分や栄養分を吸収し、子孫を残すためにキノコ(子実体)の形になります。植物に例えるなら、菌糸は根っこや茎部分に相当し、キノコは花や果実になるでしょうか。MYCLはキノコの形になる前の状態の菌糸を加工して作ります。
そうなんですね!では菌糸を培養することで、革が生まれてくるということでしょうか?
厳密にいうと、ふわふわとした肉眼では見えない菌糸を何回も重ねることによって、マッシュルームレザーという生地ができるのです。
なるほど、つまり、マッシュルームレザーはキノコと同じ成分だが、菌糸を重ねることによって作られているため、キノコの皮からできている生地では無い、ということですか?
その通りです!
マッシュルームレザーというよりむしろ菌糸の生地ですね!
キノコの皮からできた鞄という事実に少し抵抗があったのですが、キノコではなく菌糸から作られた鞄であると理解できたので、抵抗感がなくなりました。
今後はより環境に良いマッシュルームレザーを開発していく
では最後に、今後の事業の展望を教えていただけますでしょうか。
今は本体の成分が100%天然素材であるマッシュルームレザーMYCLを育てているのですが、今後は仕上がりまで100%天然のマッシュルームレザーMYCLを作っていきたいと考えております。そのために研究を重ね、より環境に負荷をかけない究極の商品を皆さんに届けられるように頑張ります!
また、マッシュルームレザーの良さを広め、エシカルな素材の選択肢として普及させたいと思います。
すでに動物性の革と比べてとてつもなく環境負荷が少ないのに、さらに環境負荷を減らすべく邁進されていくのですね!応援しています。頑張ってください!
まとめ:環境に優しい商品の開発を続けるMYCL Japan
今回は、環境への負荷を低減し、究極のサステナビリティを目指してマッシュルームレザーを制作されているMYCL Japanにインタビューを行いました。MYCL Japanが動物由来の原料を使わず、プラスチック性原料の使用も最低限にしている、とても環境に優しい商品を全力で開発していることを今回知りました。
私もできるだけ環境に負荷をかけない商品を購入したり、環境に優しい生活をしたりすることを心掛けたいと思います。
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