SISTERS代表の鈴木彩衣音さんにインタビュー!性暴力の被害にあった女性に寄り添おうと思ったきっかけとは?

今回は、性暴力の被害にあった人のための相談コミュニティを運営する、SISTERSの代表の鈴木彩衣音さんにインタビューを行いました。

  • 性暴力の問題に興味がある方
  • ジェンダーギャップの問題について知りたい方
  • 新卒で社会起業家になりたい方

はぜひ読んでいただけたらと思います!

【名前】
鈴木 彩衣音

【経歴】
東京都出身 東洋大学社会学部 ⇒ 新卒で株式会社ボーダレス・ジャパンに入社し、1年間株式会社ボーダレス・ジャパンのFor Goodで働く ⇒ SISTERSを立ち上げ

【携わっている主な事業内容】
SISTERS:性暴力の被害にあった人のための相談コミュニティ

目次

自分には何ができるかをとことん考え抜いた結果、ボーダレス・ジャパンで性被害にあってしまった女性を助けるサービスを開始

渡邊

本日はよろしくお願い致します。

ではまず、鈴木さんの経歴について、お聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?

鈴木

はい。私は中学生のときに第二次世界大戦の映画を見たことがきっかけで、社会問題に関心をもつようになりました。ただ、周りの友達はそれらに興味が無い子が多く、周囲とのギャップに驚きました。

そこで、皆が社会問題に関心がないのであれば、関心がある私が行動して、社会を良い方向に変えていけば良いのではないかと考えるようになりました。

鈴木

その後は、自分には何ができるかを探すため、様々なことに挑戦しました。 高校生のときは海外ボランティア、NPO法人、学生団体に参加し、大学時代は複数のインターンや学生起業の経験をしました。

ジェンダーに関して取り組む企業が少ないことを知ったことがきっかけで、社会起業家になりたいと思い、新卒で株式会社ボーダレス・ジャパンに入社しました。1年目は、株式会社ボーダレス・ジャパン代表の田口の元、For Good で働き、入社して2年目の2023年6月にSISTERSをリリースしました。

SISTERS
SISTERS| 性別による不条理な出来事を無くし、誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、若い世代へのジェンダー教育を届けています。
渡邊

SISTERSのサービス内容について教えてください。

鈴木

はい。SISTERSは性暴力被害者のためのコミュニティです。主にイベントの運営当事者同士で話し合うオンラインのミーティングや、ポッドキャストでの匿名での相談を行っています。

渡邊

なぜこのような活動を行っているのですか?

鈴木

内閣府の調査によると、言葉を含めた性暴力の被害に女性の4人に1人があっていて、強制性交は女性の13人に1人が被害にあっています。

しかし、警察に届け出が出されている全ての性犯罪の被害は毎年5000件ほどと、実際に被害に合っている女性の数とかけ離れています。性暴力の被害にあっても、多くの女性が警察に相談できていない現実に衝撃をうけました。

鈴木

また、性暴力の問題は非常にセンシティブな問題なので、友人に相談できず自分でため込んでしまう人もいます。誰にも話せない結果、約半数の性被害者がPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまった、というデータもあります。

PTSD:トラウマになる圧倒的な出来事を経験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応。

命が脅かされる出来事や重篤なけがによって、激しい精神的な苦痛が長期間続くことがある。
その出来事を繰り返し再体験し、悪夢を見たり、それを思い出させるものをすべて避けたりする。

鈴木

PTSDは自然免疫で回復すると言われていますが、実際は約半数くらいの人しか回復しないというデータがあります。

PTSDだけでなく、自身に被害の原因があったのではないかと自責してしまい、長期的に精神的なストレスを抱え、より重い複雑性PTSDになってしまうケースもあります。

鈴木

そのため、被害にあってから、きちんとだれかに相談したり、カウンセリングを受けられることが、長期的な精神的ストレスを防ぐために重要であると思い、この活動をしています。

渡邊

なるほど。

では、どのようなきっかけでSISTERSをリリースされたのでしょうか?

鈴木

ジェンダーの問題に興味があり、ジェンダーに関することで起業したいと思っていたからです。その中で性暴力の問題は高校生のときに私自身被害にあっていたので、なじみがありました。

また、性暴力は20代で被害が多く、幼少期にあってしまうこともあるので、性暴力は女性が初めて人生の中で会う性差別かもしれないと気づきました。そこで、私の力で性暴力に対して何かアプローチができないかと思い、SISTERSをリリースしました。

性暴力は知人からの被害が半数以上

渡邊

そうなんですね。ちなみに性暴力とは具体的にどういうものですか?

鈴木

性暴力というと、知らない人に夜道でいきなり襲われるような、レイプを想像される方が多いと思うのですが、それだけではなく、性暴力とは相手の同意なしに性的な言葉をかけたり、性的な行為をすることを指します。

実は、性暴力の半数以上が知っている人からの被害によるものだというデータがあります。つまり、衝動的なものではなく計画的なものなのですね。

知っている人からの性被害だと被害申告しにくいという現状があります。だから知人からの性暴力が犯罪だという認識が薄れてしまうのです。

鈴木

例えば、大学生でよく見られる性暴力のケースは、気になるサークルの先輩にご飯に誘われてご飯に行く。お酒を沢山飲まされてホテルに連れて行かれてしまう、というものです。

ここでポイントなのは、女性は先輩とご飯に行くけれど、性的な行為を認めているわけではないということです。

しかし、女性が、先輩とご飯に行ってしまった自分、相手に勘違いさせてしまった自分が悪いのではないかと自責してしまい、被害を認識できないケースが多いです。

渡邊

どんな状況であれ、同意なしに性的な行為を無理やり強いられることは、100%女性は悪くないですよね。痴漢の被害にあったのは、ミニスカートを履いている女性のせいではなく、触った人が悪いということと一緒で。

鈴木

そうなんです。

将来的には、男女の賃金格差などの経済的な問題に特に取り組んでいきたい

渡邊

では、将来の展望を教えていただけますでしょうか。

鈴木

ジェンダーギャップは健康、経済、政治、教育の4つの軸がありますが、その中で、経済のジェンダーキャップを最も解決したいと思っています。女性の管理職の割合をどうあげるかに関心があるからです。

今の日本のジェンダーギャップの是正が終わるのは100年後だと言われています。できるだけ、早期にジェンダーギャップを是正できるように行動していきたいです。

画像参照:https://www.gender.go.jp/research/weekly_data/01.html
渡邊

男女の賃金平等を実現する、具体的な方法は案としてありますか?

鈴木

今、私も勉強中ですが、解決する方法は3つほどあるかなと思います。

1. 女性が正当に評価される仕組みをつくる。
2. 出産のために仕事を辞める必要がない仕組みを作る
3. 女性のキャリア思考を支援する仕組みを作る

初めの1歩を頑張って踏み出せば、怖くない

渡邊

最後に社会起業家になりたい人に向けてメッセージをお願いします!

鈴木

社会起業家になりたいと思っているけれど、まだ実現できていない人は、2タイプいると思っています。

  1. 具体的になにをすれば良いのかか分からない人
  2. やりたいことはあるけど挑戦することが怖い人
鈴木

①の具体的になにをすれば良いのか分からない人は、自分が関心のある分野に携わっている人にたくさん会ってみると、自分の思考が固まってくるので良いと思います。

基本的に大学生は社会人と比べて断られにくいので、その特権を生かして、たくさん話を聞いてみましょう!

鈴木

②の、やりたいことはあるけど挑戦することが怖い人は、どうやったら今自分で考えているプランを実行できるか課題を細分化して解決策を考えると良いと思います。

そうすれば、たとえ大きな社会問題でも、自分にもできるのではないかと思えるようになると思います。

鈴木

また、私の経験上、行動を起こせば起こすほど怖さはなくなっていきます。1番大変なのは、初めの1歩を踏み出すときです。

私は、SISTERSを立ち上げた時より、株式会社ボーダレス・ジャパンに入社すると決断した時の方が怖かったです。そのときは毎日のように鏡の前で「私は起業家になる、私は起業家になる」と言い聞かせていました…。

初めの1歩を勇気を出して踏み出し、成功体験を積みましょう。すると、自分に対して信頼できるようになります。後に新たな困難に直面しても、昔乗り越えられたから今回も乗り越えられるだろうと思えるようになります!

渡邊

初めの1歩を踏み出すことが大事なのですね!私は、1の具体的になにをすれば良いのか分からない人なので、たくさんの大人と話してこれから自分の道を決めていきたいと思います!

鈴木

良いですね!たくさん起業家たちの話を聞いて自分の考えを固めていってください!初めの一歩の話に戻りますが、もし、いきなり社会起業家になるのがハードルが高かったら、株式会社ボーダレス・ジャパンで開いている社会起業家養成所アカデミーに参加してみたり、新卒の採用枠で事業の立ち上げに参加できる会社に行くというのも良いと思います!

とにかく自分のできる範囲から1歩踏み出すということが大切です!そして少しずつ自分の行動の幅を大きくしていきましょう!


渡邊

はい!最後に株式会社ボーダレス・ジャパンさんが取り組まれている、ソーシャルビジネスを行いたい人向けの活動について教えてください。

鈴木

株式会社ボーダレス・ジャパンでは、社会課題解決のプロフェッショナルを育成するための新卒採用を実施しています。入社後は私と同じように、代表田口の元で、新規事業開発を経験して、事業作り、社会課題の解決の考え方を習得していきます。

将来的に、ボーダレスグループで起業をしたり、株式会社ボーダレス・ジャパン内で新規事業を立ち上げることもできます。興味のある方は採用イベントも8月末以降に定期的に実施するのでぜひご参加ください。

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鈴木彩衣音さんは、ジェンダーギャップの是正に真摯に取り組んでいる方

今回は、SISTERSの代表の鈴木彩衣音さんにインタビューを行いました。SISTERSでは、性被害にあってしまった女性のために、性被害について話したり、相談したりするコミュニティを提供していることを知りました。

社会起業家になるために、これからもソーシャルエッグを通して、たくさんの社会起業家の方にインタビューをし、その企業の良さを世に伝えるとともに、自分が進むべき道を固めていきたいです!

ソーシャルエッグでは、ソーシャルビジネスを行っている人・社会起業家の記事が他にもたくさん用意しています。社会に良い事業に興味がある方は、ぜひ他の記事も読んでみて下さいね!

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この記事の編集者

ソーシャルエッグメンバーの渡邊紗彩と申します。早稲田大学社会科学部の1年生です。現在はLGBTQ+や移民問題に興味があります。ソーシャルエッグを盛り上げていけるように頑張ります!

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