神奈川なでしこブランド10周年記念イベントで、社会に良い事業を手がける女性起業家を取材!

県内企業における女性の登用・活躍を進めるため神奈川県が行っている、女性が開発に貢献した優れた商品を認定しPRする事業「神奈川なでしこブランド」の10周年記念イベントが、2023年7月19日~7月21日にかながわ県民活動サポートセンターで行われました。今回、こちらのイベントで展示・販売されていた商品の開発者で、社会に良い事業を手がける3人の女性起業家の方々にインタビューを行いました。

W2-Dress:車いすユーザーの方向けウェディングドレスを手がける事業

【名前】
宮澤 久美

【経歴】
文化服装学院アパレルデザイン学科 ⇒ ファッションデザイナー ⇒ オーダーメイド工房「Mトワル」・車いすユーザーの方向けウェディングドレス事業「W2-Dress」設立

【携わっている主な事業内容】
W2-Dress:車いすユーザーの方向けウェディングドレスを手がける事業

車いすウェディングドレス W2-Dre...

車いすユーザーの方にウェディングドレスを作ったら、ものすごく喜ばれたことからW2-Dressをスタート

下谷

本日はよろしくお願い致します。

ではまず、宮澤さんの経歴を教えて頂けますでしょうか?

宮澤

洋服を作ること自体は中学生くらいの頃から好きで、当時はお人形の洋服を作ったりしていました。中学生の頃に、児童養護施設に通っている女の子にワンピースを作ってあげる機会があったのですが、これを作って渡してあげた時にとっても喜んでくれて。

初めての洋服制作だったんですが、その女の子がすごいおしゃれに着こなしてくれて、とても印象に残りました。そこから洋服で人を喜ばせる仕事がしたいなと思い、洋裁の専門学校(文化服装学院)に進学しました。

宮澤

その後アパレルの企業に勤めまして、企業デザイナーとして洋服のデザインを5年ほど行っていました。

そして、結婚・出産を機にフリーのデザイナーとなり、仕事や案件を受ける中でオーダーメイド工房「Mトワル」を設立しました。

下谷

宮澤さんのご家族に、障がいを抱えた方がいらっしゃるとHPにて拝見しましたが、そちらも関係があるのでしょうか?

宮澤

はい、私の母が脊椎小脳変性症というALSの1つを患いまして、やっぱりズボンを履くのが大変だったり、洋服を着るのが難しいんですよね。

そのため、私で手を入れて着やすい洋服に裁縫し直していたのですが、その際に「障がいを抱えた人が着やすいファッションが求められているのではないか」と気が付きました。そこから、Mトワルにて障がいを抱えた方向けの洋服の依頼を受け付け始めました。

下谷

なるほど、では元からウェディングドレス事業をされていたというわけではなく、障がいを抱えた方向けのアパレル事業が転換して今の形になったんですね。

宮澤

そうですね。偶然車いすユーザーの方に「ウェディングドレスを作ってくれないか?」と頼まれたことが、車いすウェディングドレス事業を始めたきっかけです。

試行錯誤しながらも完成し届けたら、ものすごく喜んでくださって。本当にきゃーきゃー喜んでくれて、「女性って車いすであってもなくても、ウェディングドレスを着るとこんな嬉しい表情をするんだ」ととても印象に残りました。

そこで、嬉しい姿・楽しい姿から障がいを伝えていくと、周りの人が気後れせず声をかけてくれるようになると気付き、ウェディングドレス事業を行おうと決意しました。

一般のウェディングドレスとW2-Dressのウェディングドレスの違い

下谷

W2-Dressのウェディングドレスには、一般のウェディングドレスとは異なり、どのような特徴があるのでしょうか?

宮澤

まず、W2-Dressのドレスは「オーダーレンタル」と呼んでいて、レンタル品でもそれぞれのお客様に合った形に手直しして提供しています

手首に管を通していたり、右肩だけ下がってしまっていたり、身長がかなり小柄だったり、車いすや障がいの形は人それぞれです。そのため、それぞれのお客様が最もキレイな見た目に見えるよう、デザインを施してドレスを提供しています。

例えば、手首が見えないようにレースで覆ったり、下がっている右肩の上に大きなリボンを付けたりしています。

宮澤

また、車いすユーザーの方は立つことができないので、座ったままでも着替えが簡単な作りにしています。例えば、ファスナーの位置を背中から両脇に移動することで、座ったままでも着やすい作りにしています。

そのため、お色直しも簡単にすることができていますね。

宮澤

また、W2-Dressのドレスはアップサイクルして作られています。ウェディング業界では、レンタルで貸し出されたドレスは3~4回使用すると、汚れやトレンドの変化から使われなくなってしまいます。これらのドレスはずっと溜められていくので、まだ綺麗なドレスが大量に使われず残されているという問題があります。

そこで、W2-Dressがこれらのドレスをアップサイクルして利用しています。汚れてしまいがちな長いトレーンは、背が低くなる車いすユーザーには必要ないため、綺麗な部分だけを再利用して使うことができます

下谷

W2-Dressを利用される方は、HPから来られる方が多いのでしょうか?

宮澤

そうですね、結構HPから見つけてくださる方が多いですね。

今後は障がいを抱えた方向けのトータルウェディングプランニングを行っていく

下谷

今後は「こんなことを行っていきたい」という展望はありますか?

宮澤

はい。当初はドレスだけを手がけていたのですが、それだと車いすの方が「そのドレスを着て行ける場所がない」ことに気付きました。

車いす用ドレスだけでなく、バリアフリーの式場や車いすでもOKなフォトスタジオなど、車いすユーザーの方のためのウェディングプランニングが必要です。そこで、ウェディングプランナーやサービス介助、着付けサポート、車いす用ドレスなどすべてをパッケージ化した商品として、HopeWeddingsをスタートしました。

神奈川なでしこブランドに認定していただいた、このHopeWeddingsを広めていき、神奈川県が「障がいを持った方向けのウェディングの場所」となれば良いなと思っています。

宮澤

また、どこの結婚式場やドレス屋さんに行っても、車いすユーザーの方向けのドレスがカテゴリの1つとして存在する社会を作っていきたいと思っています。

宮澤さん(写真:左)と、当日モデルとして参加された2名(写真:中央・右)

W2-Dressさんは、神奈川県内で障がいのある方向けのウェディングに協力してくださるホテルや施設、レストランなどを随時募集しています。関心のある方は宮澤さんまでご連絡をお願い致します。

メール:risanagisa@gmail.com

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。