みなさんは最近、砂浜や海に出かけたことはありますか?
ここ10~20年で浜辺の海洋ごみの量は目に見えるほど増えていて、砂浜を歩いているだけでも数多くのプラスチックゴミを目にすると思います。
海に潜ればペットボトルや漁網などが浮かんでいるのが見え、楽しいビーチリゾートの気分が一気に損なわれてしまうでしょう。
なぜこれほどまで世界では、海洋汚染が進んでいるのでしょうか?
今回の記事では、海洋汚染の現状や原因、海洋汚染が引き起こす環境・人体への影響などを解説していきます。
また、私たちが海洋汚染問題に対して、どのような取り組みが行えるのかも紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
海洋汚染とは、海が人間の活動によって汚染されること
海洋汚染とは、海洋環境に人間が有害な物質を放出することで、海が汚染される環境汚染のことです。
海の温暖化や漁獲量減少といった海洋環境問題の一つで、海の環境問題とも言われます。
162カ国が締結している「国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約)」では、海洋汚染を以下のように定義しています。
「海洋環境の汚染」とは、人間による海洋環境(三角江を含む。)への物質又はエネルギーの直接的又は間接的な導入であって、生物資源及び海洋生物に対する害、人の健康に対する危険、海洋活動(漁獲及びその他の適法な海洋の利用を含む。)に対する障害、海水の水質を利用に適さなくすること並びに快適性の減殺のような有害な結果をもたらし又はもたらすおそれのあるものをいう。
海洋法に関する国際連合条約 第一部 第一条
海洋汚染の原因物質は、プラスチックや工業排水・不法投棄によるものなど様々です。海洋汚染が発生すると、水質汚染や珊瑚礁の破壊、私たちが魚を食べられなくなるなどの影響が発生します。
また、海洋汚染はSDGs14「海の豊かさを守ろう」とも密接に関連しています。SDGs14では、「陸上の人間の活動によるものを含め、あらゆる海の汚染を防ぎ、大きく減らす」と記載されており、海洋汚染の課題解決はSDGs推進に必要不可欠です。
海洋汚染の原因とは
海洋汚染が発生する原因とは何でしょうか?海洋汚染の原因は、以下の6つとされています。
- 海洋ごみの投棄やポイ捨て
- マイクロプラスチック
- 船からの油の流出
- 鉱山や海中資源の採掘
- 工場からの工場排水
- 家庭からの生活排水
ここからは、海洋汚染の種類とそれぞれの原因について、詳しく解説してきます。
海洋汚染の原因①:海洋ごみの投棄やポイ捨て
海洋ごみとはその名の通り、海に捨てられたごみのことを指します。
海洋ごみの中で最も割合の高いものはプラスチック製品です。
「自然内で完全に分解されない」「日常的に多く使われている」「風や水に流されやすい」などの理由から、プラスチック製品は海洋ごみの中でも大きな割合を占めています。
海洋プラスチックごみに多く存在している製品は、以下のようなものです。
- レジ袋・ビニール袋
- ペットボトル
- 漁網・釣り具・浮きなどの漁業用具
特に漁業用具は耐久性が高いため、海中の生物たちに絡まったり刺さったりしてしまうなどの悪影響を引き起こしています。
海洋汚染の原因②:マイクロプラスチック
マイクロプラスチックとは、直径5mm以下のプラスチックのことです。
私たちの目には見えずらいですが、今世界の海のほとんどにマイクロプラスチックが含まれています。
下記のグラフは、世界の海にどれほどのマイクロプラスチックが含まれているのかを示したものです。
これを見ると分かる通り、オセアニアや南極といった一部の地域以外、ほとんどの海にマイクロプラスチックが含まれていることが分かります。北極近くの海にも、200mm未満のマイクロプラスチックが含まれています。
マイクロプラスチックが発生する要因は、主に2つあります。
1つ目が「一次的マイクロプラスチック」と呼ばれるもので、製造時点で小さいプラスチックとして作られたものです。代表例として、歯磨き粉や洗顔料、スクラブ剤などに含まれています。
2つ目が「二次的マイクロプラスチック」と呼ばれるもので、不法投棄されたプラスチック製品が、紫外線や砂などで砕かれ生じるマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチック自体のサイズは小さいものの、世界の海洋プラスチックごみの約7%がマイクロプラスチックと言われています。
海洋汚染の原因③:船からの油の流出
2023年度に海上保安庁が確認した海洋汚染のうち、約65%が船舶からの油の流出です。
海に油が流出すると、羽根を油が覆って海鳥が飛べなくなってしまったり、魚が大量死するなどの生態系への悪影響が引き起されます。
油の流出を起こした船種は、漁船が約29%、プレジャーボートが約18%、作業船が約15%、貨物船とタンカーが約10%となっています
船から油が漏れる原因として最も多いものは、誤ったバルブ操作や不適切なタンク計測など、作業中の不備によるものです。
また、座礁や衝突などによる船舶事故がひとたび発生すると、多量の油が広範囲にわたり流出してしまいます。
1967年のトリ-キャニオン号座礁では約300kmの海域が汚染され、2020年のモーリシャス沖座礁事故ではマングローブが枯死するといった影響が発生しています。
海洋汚染の原因④:鉱山や海中資源の採掘
地上の鉱山で生じた有害物質をそのまま川に流して、水質汚染が海洋汚染に繋がるケースもあります。代表的な例が「イタイイタイ病」です。
イタイイタイ病は、岐阜県の神岡鉱山から排出されたカドミウムが神通川を通り、川・海を汚染したことで発生した病気です。
少し動いただけで骨折してしまい、全身を痛みに襲われるイタイイタイ病は、日本四大公害病の一つとなっています。
海外では、インドネシアのニューモント・ミナハサ・ラヤ金鉱山から流出した水銀・ヒ素による、海洋生物への汚染問題が発生しています。
また、海底に埋まっている石油・天然ガスを採掘する際に、一部の資源が海に漏れてしまう事例も存在しています。
海洋汚染の原因⑤:工場からの工場排水
工場から適切に処理されず排水された水が、川を通じて海を汚染するケースです。代表的な例が、こちらも日本四大公害の一つである「水俣病」です。
水俣病とは、新日本窒素水俣工場で生成されたメチル水銀加工物が水俣湾の魚介類を汚染し、その魚介類を食べた住民が発症した病気のことです。
メチル水銀は神経障害を引き起こし、これまで約3000人の被害者を生み出しました。当時の日本政府は水俣病の被害を隠したため、被害者の数がここまで増えてしまいました。
水俣湾は全域で水質汚染されてしまい、1958年~1997年まで漁業が禁止される事態となってしまいました。
また、多くの有機物を含む工場排水では、赤潮を引き起こすことがあります。
赤潮ではプランクトンが大量発生し海中の酸素濃度が低下、魚の大量死滅に繋がってしまいます。
1972年の播磨湾赤潮では、工場排水によって引き起こされた赤潮により、約1400万匹のハマチが死亡しています。
海洋汚染の原因⑥:家庭からの生活排水
私たちが普段生活している中で、海洋汚染を引き起こしていることもあります。
例えば、調理で使った油をそのまま流しに流したり、環境負荷の高い洗剤を洗い流したりすることが、河川を通じて海洋汚染になっている場合があります。
下水道が整備されていない国や地域では、生活排水が処理されずそのまま海へ流されるため、海洋汚染の大きな原因となっています。
世界の海洋汚染の現状、最も汚染度の高い国はどこ?
世界では、主に発展途上国を中心に海洋汚染が発生しています。
なぜハイテク機器を大量消費している先進国よりも、発展途上国のほうが海洋汚染の割合が高いのでしょうか?
ここからは、世界の海洋汚染の現状と、海洋環境問題を引き起こしている国々を解説していきます。
世界の海洋汚染の現状、世界の海洋ゴミは約1億5000万トン
2015年時点にて、世界の海洋ごみは約1億5000万トンと言われています。
世界では年間800万トンのプラスチックごみが海に流出していて、年々海洋中のゴミの量は増えています。
また、世界では生活排水の90%は未処理のまま放出されており、工業排水や鉱山から出る排水も多くが垂れ流しとなっています。
発展途上国で海洋汚染が発生しやすい、3つの理由
現在、海洋汚染の多くは発展途上国で起きています。
発展途上国で海洋汚染が起きやすい理由には、以下の3つが挙げられます。
- 人口が多く、廃棄物処理能力が未熟のため
- 川や海にごみを捨てることが当たり前になっているため
- 先進国のごみを引き受けているため
ここからは、発展途上国で海洋汚染が発生しやすい理由について、それぞれ詳しく解説していきます。
①: 人口が多く、廃棄物処理能力が未熟のため
発展途上国では、急速に拡大する人口に廃棄物処理能力が追い付いておらず、多くのごみが川や海に捨てられています。
また、高性能な火力発電施設や下水処理施設がない地域が多く、国の発展に技術が追い付いていない状態です。
日本の下水道処理施設普及率は92.9%と非常に高いですが、発展途上国ではインドネシアで1.2%、ベトナムで2.7%、バングラデシュで2.8%とまだまだ低い国が多いです。生活排水をそのまま河川に流しているため、結果海洋汚染に繋がっています。
② 川や海にごみを捨てることが当たり前になっているため
発展途上国のまだ多くの人たちは、ごみを川や海に捨てることが、不法投棄でなく『当たり前』だと思っています。
プラスチックなどがない時代には、ほとんどの物が川や海に捨てても自然に分解されていました。
しかし、近年短期間で発展した途上国ではプラスチックや石油製品などが急速に拡大しましたが、ポイ捨てに対する意識が技術の発展に追い付いていない状態です。
「ポイ捨てすることは当たり前だ」という考えがまだ根強く存在しており、結果川や海がごみだらけになってしまっています。環境汚染や環境問題といった概念が、まだその国に根付いていないのです。
③ 先進国のごみを引き受けているため
先進国は、自国で処分しにくいゴミを途上国に輸出しています。
『電子機器の墓場』と呼ばれるガーナのアグボグブロシーでは、世界中から電子廃棄物が集まってきます。この電子廃棄物はその場で素焼きされており、発生した有毒物質はそのまま川に流しています。
また、『船の墓場』と呼ばれるバングラデシュのチッタゴンでは、各国の解体される船が多数集まっています。ここで解体時に出た鉄くずやプラスチックごみは、適切な処分場がないためその場で埋め立てられています。
海にプラスチックを多く排出している国ランキング
現在、世界で最も多くの海洋プラスチックを排出している国は、以下のようになっています。
このグラフを見ると、ランキング上位はアジア圏の発展途上国が多いことが分かります。
さらに、以下の表を見てください。
ランキング | 国 | 海洋に放出するプラスチック量(トン/年) | 年間プラスチック排出量(トン/年) |
---|---|---|---|
1 | フィリピン | 360,000 | 4,000,000 |
2 | インド | 130,000 | 13,000,000 |
3 | マレーシア | 73,000 | 810,000 |
4 | 中国 | 71,000 | 12,000,000 |
5 | インドネシア | 56,000 | 820,000 |
6 | ミャンマー | 40,000 | 990,000 |
7 | ブラジル | 38,000 | 3,300,000 |
8 | ベトナム | 28,000 | 1,100,000 |
9 | バングラデシュ | 25,000 | 1,000,000 |
10 | タイ | 23,000 | 1,400,000 |
11 | ナイジェリア | 19,000 | 1,900,000 |
12 | トルコ | 14,000 | 1,700,000 |
13 | カメルーン | 11,000 | 580,000 |
14 | スリランカ | 9,700 | 160,000 |
15 | グアテマラ | 7,100 | 310,000 |
16 | ハイチ | 6,900 | 240,000 |
17 | ドミニカ共和国 | 6,300 | 190,000 |
18 | ベネズエラ | 6,000 | 670,000 |
19 | タンザニア | 5,800 | 1,700,000 |
20 | アルジェリア | 5,800 | 760,000 |
この表は、その国全体で排出されるプラスチック量と、そのうち海洋に放出されているプラスチック量を比較した表です。
これを見ると、プラスチックを適切に処理できていないことが理由でランキング上位となっている国と、それ以外の理由でランキングに入っている国が分かります。
例えば、アメリカは全世界1位のプラスチック排出量を占めていますが、このランキングには入っていません。
対して、排出されるプラスチックの約10%が海に放出されているフィリピンでは、貧困層の多くがゴミ箱すら持っておらず、ごみをポイ捨てする習慣があります。ポイ捨てされたプラスチックは、簡単にリサイクルできずお金にならないため、誰も回収せずそのまま放棄されています。
日本の海洋汚染の現状、沖縄での海洋プラスチックによるサンゴの死滅
日本は四大公害を経験後、工場排水に対して明確な処理基準が定められ、汚染事故は大きく減りました。日本政府は環境基本法を制定し、公害によって海が汚れることを防ぎました。
また、日本の汚水処理人口普及率は92.9%と非常に高い数値で、家庭用排水の多くが適切に処理されて海に放流されています。さらに、衛生意識が高いため他国と比較しポイ捨て量も少なく、世界の中では海洋汚染がそこまで広がっていない状態です。
近年はレジ袋の有料化やプラスチックストローの有料化などの取り組みも普及し、海洋プラスチックごみが年々削減されています。
その一方で、沖縄の珊瑚礁ではサンゴにプラスチックが付着し病気が発生しているという課題もあります。
実は沖縄には、世界の95%、約380種のサンゴが生息しています。
サンゴは、ビニール袋やプラスチックゴミが付着しやすい複雑な形状をしています。サンゴが死滅してしまうと、周囲の海洋生物の生息域がなくなり、沖縄の豊かな生態系を崩す一因となってしまいます。
また、沖縄・奄美地方の海洋プラスチックごみは、外国から漂着した物が8割以上を占めています。海は世界中で繋がっているため、日本だけ汚染を減らしても効果が出にくいのが現状です。
海洋汚染が発生することで発生する問題とは
現在、海洋汚染は年々進行しています。今のペースで海洋汚染が進行すると、2050年には魚の数より海洋ゴミの数の方が多くなると予測されています。
このまま海洋汚染が進行すると、以下のような問題が発生するとされています。
- 生態系の破壊・漁獲量の減少
- マイクロプラスチックの生物濃縮
- 小国の島国の収入源がなくなる
- 漂うプラスチックゴミによる地球温暖化
ここからは、それぞれの海洋汚染によって発生する問題について、詳しく解説していきます。
海洋汚染により発生する問題①:生態系の破壊・漁獲量の減少
上述したサンゴ礁の破壊や赤潮・青潮などが発生すると、海の生態系が破壊されてしまいます。
フロリダで10年以上発生した赤潮では、数万匹の亀やマナティー、イルカ、鳥、魚などが死滅しました。その一方で、赤潮の環境に適応した外来種が根付いてしまい、その海の生態系は大きく変わってしまいました。
一度海が汚染されてしまうと、その海の魚への影響は非常に大きく、早くても数十年は魚たちが戻ってこない状態となってしまいます。
また海洋汚染によって漁獲量が減少したり、風評被害から消費者がその海の魚を選ばなくなるなど、漁業に大きな影響を与えます。
福島沖や水俣湾で獲れた魚は、現在でも海洋汚染による風評被害に悩まされています。
海洋汚染により発生する問題②:マイクロプラスチックの生物濃縮
生物濃縮とは、食物連鎖によって有害物質が蓄積・濃縮され、高濃度になる現象のことです。
海中のプランクトンがマイクロプラスチックを摂取し、小魚がそのプランクトンを数百匹摂取し、大きな魚がその小魚を数百匹摂取し、、、と食物連鎖が続くと、大きな魚には数十万匹分のプランクトンのマイクロプラスチックが濃縮されます。
最終的には人間がその大きな魚を食べることになるため、人間の体内に濃縮されたマイクロプラスチックが蓄積され、健康被害を引き起こす可能性があります。
また、マイクロプラスチックは魚への影響への影響も大きく、内臓が傷ついてしまったり、病気を引き起こしてしまったりすることもあります。
海洋汚染により発生する問題③:小国の島国の収入源がなくなる
太平洋やカリブ海の島国、各地のビーチリゾートは、美しい海とビーチを生業としています。
とくに小国の島国は収入の多くを観光業に依存しており、海洋汚染によりビーチリゾートが汚れてしまうと、国家財政に深刻な影響を与えてしまいます。
2018年にはフィリピン有数のビーチリゾート「ボラカイ島」にて、多量のゴミと下水が海に排出されたことによる6ヶ月の海岸閉鎖が行われました。
海洋汚染により発生する問題④:漂うプラスチックゴミによる地球温暖化
海洋を漂うプラスチックゴミが太陽光にさらされると、プラスチックが劣化しメタンガスが発生します。
メタンガスはCO2の約25倍の温室効果を持っており、気候変動に大きな影響を与えます。
海洋を漂うプラスチックゴミが増えるほど、実は地球温暖化が進行しています。
海洋汚染を防ぐために、私たちにできる取り組みとは
ここまでお伝えした通り、海洋汚染は現在進行中の社会問題です。
海洋汚染は非常に大きい社会課題ですが、海洋汚染を防ぐために私たち一人ひとりができることは数多くあります。
プラスチックごみの削減、リサイクルの徹底、そして環境に配慮した製品の選択など、日常生活の中で実践できる対策がいくつも存在します。また、地域の清掃活動や海洋保護団体への寄付も効果的です。
これらの取り組みを通じて、私たちは海洋環境の保全に貢献し、未来の世代に美しい海を残すことができます。
ここからは、海洋汚染問題解決のために、誰でも個人で簡単にできることを解説していきます。
①:プラスチック製品を大量消費しない
私たちの身の回りには、レジ袋・ストロー・ペットボトルなど様々なプラスチック製品が存在しています。
他に代替できないプラスチック製品も多数ありますが、日常的に消費するようなプラスチック製品の消費を減らすことが有効です。
例えば、ペットボトルでなくマイボトルを使うようにしたり、レジ袋でなくエコバックを使うようにするなどが該当します。
また、ペットボトルやプラスチックカップなどを使用した場合は、きちんと分別しリサイクルに回すことで、プラごみの排出量を削減できます。
②:生活排水の汚れを減らす
私たちが排出する生活排水をできるだけ汚さないようにすることが、海洋汚染防止に役立ちます。
以下のようなことを日常生活から心がけてみましょう。
- 調理に使った油は、流しに捨てずキッチンペーパーで吸い取る
- 食器を洗う際には事前に汚れを拭き取り、使用する洗剤の量を減らす
- シャンプーやボディーソープなどは、適量で使用する
- 調理くずはそのまま流さず、燃えるゴミに捨てる
特にBOD(生物化学的酸素要求量)が高い『使用済み油』『マヨネーズ』『牛乳』『ビール』などは、水道に捨てることなく飲み切るか使い切ることを心がけましょう。
③:ポイ捨てをしない・ゴミ拾い活動をする
川や砂浜・海でポイ捨てをしないようにすることは非常に大切です。
生分解性プラスチックだからといってその場に捨ててしまうと、雨から川に流れ海に放出されてしまいます。生分解性プラスチックは、地面のバクテリアの力で分解されるため、海上ではほとんど分解されません。
また、NPOやボランティアが行っているビーチクリーン活動に参加するのも、海のゴミを削減する有効な手立てです。
実際にビーチクリーン活動に参加してみると、これほど多くのゴミが浜辺に捨てられているのかと驚くと思います。1時間程度のゴミ拾いで、30Lのポリ袋5袋以上のゴミを集めることができてしまいます。
海がどれだけ汚染されているか身を以て知ることで、海洋汚染に向き合おうとする気持ちがより一層生まれてくると思います。
④:環境に配慮された商品を選ぶ
環境に配慮された商品の指標として、エコラベルというものがあります。
エコラベルとは、製品が環境に配慮して作られたものだと示す正式な認証マークのことです。エコラベルには様々な種類があります。
名称 | ロゴ | 意味 |
---|---|---|
エコマーク | 環境負荷が少ない商品に付けられるマーク | |
再生紙使用マーク | 古紙パルプの使用率を示しているマーク | |
バイオマスマーク | 原料が生物由来の商品に付けられるマーク | |
MSC認証 | 持続可能な天然の水産物に付けられるマーク | |
ASC認証 | 持続可能な養殖の水産物に付けられるマーク | |
FSC認証 | 持続可能な森林から伐採された木材に付けられるマーク |
エコラベルが付いた素材や製品を選ぶことで、間接的に海をきれいにする取り組みに参加できます。
⑤:海洋汚染対策を行っている団体に参加する・寄付をする
日本には、海洋汚染対策に取り組む様々な団体があります。
ビーチクリーン活動を行うNPOや、海洋プラスチックのリサイクルを行うNPO、海洋汚染問題の啓発活動を行うボランティア団体などがあります。
また世界には、数百万人規模のボランティアを有する環境NGOも存在しています。これらの団体に参加することで、個人ではなかなか続かない海をきれいにする取り組みを、楽しく簡単に続けることができます。
これらの活動に参加することが難しい場合は、寄付という形で海洋汚染解決のお手伝いを行うことができます。
海洋汚染問題解決の取り組みを行っている企業を3つ紹介!
海洋汚染の社会課題を解決するため、企業として取り組んでいる会社も存在します。
これらの企業は、社会的企業やソーシャルビジネスとも呼ばれ、社会問題の新たな解決方法として近年注目を集めています。
ここからは、海洋汚染問題に取り組む企業を3社紹介していきます。海洋汚染問題の解決方法の一助にして頂ければと思います。
エコエストジャパン株式会社
エコエストジャパン株式会社は、『水を生かし、水と活きる。』をモットーとしている企業です。
川や海に流出した油を加水分散する油処理剤「アースクリーン」シリーズを開発しています。アースクリーンには有害成分が含まれておらず、自然に優しい汚染分解剤となっています。
これまで、河川にエンジンオイルが流出した事故や、排水処理施設での油流出事故などでも使用された実績があります。
4ocean
アレックス・シュルツとアンドリュー・クーパーは、インドネシアのバリ島へ旅行した際に海岸がビニール袋やペットボトルなどで埋め尽くされている事に衝撃を受け、2017年にフロリダで4oceanを設立しました。
4oceanは自社サイトにてリサイクルプラスチック素材を原料にしたブレスレットを販売しており、1商品を購入するごとに1ポンドのプラスチックゴミを、海や海岸から回収しています。これまで約3600万ポンド(約1.6万トン)のプラスチック廃棄物を海から回収しています。
ブレスレットはバリとグアテマラで作られており、現地の雇用創出に繋がっています。さらに、売上の1%を海と地球を守る環境保護団体に寄付しています。
Plastic Bank
Plastic Bank社はカナダで2013年に設立された企業です。
発展途上国の人々が海洋プラスチックを回収すると、その報酬がPlastic Bankアプリに振り込まれます。
アプリを通じて、食料や燃料の購入や学校の授業料の支払いなどが可能で、現地の生活の質向上と意識改革を実現しています。
回収されたプラスチックはリサイクルされ、新たな製品に生まれ変わります。これまで280の支部で10万件以上の取引を実行しており、海洋プラスチックの撲滅を目指しています。
まとめ:海洋汚染は日本に住む私たちには、特に重要な課題
今回は、海洋汚染問題の原因や現状、行われている解決策などを解説しました。
日本は世界6位の排他的経済水域を持つ海洋国家であり、私たちの生活は海と非常に密接に暮らしています。将来に渡りずっと美しい海を享受するためには、海洋汚染対策に取り組むことが非常に大切です。
ソーシャルエッグでは他にも、社会問題に関する解説記事を掲載しています。また、これらの社会問題に取り組む企業や法人にインタビューを行い、彼らの取り組みや想いについて伺っています。関心がありましたら、ぜひそちらもご覧下さい。
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