DYCLE「ゴミが一切出ないオムツを製品化!」松坂愛友美さんインタビュー

今回は、ドイツで、ゴミが一切出ない堆肥化可能なおむつを作った松坂さんに、大学生メンバー2人がインタビューをしてきました!

  • 社会起業家になりたいが、何の社会問題を解決するか決まっていない人
  • どの社会問題を解決するかは決めているが、具体的なビジネスプランが思いつかない人
  • 社会で活躍したいが、留学するか、英語を勉強するか、など自分の進路に迷っている人

社会課題とビジネスに関心のある大学生は、ぜひ読んでいただけたらと思います!

目次

プロフィール

【名前】
松坂 愛友美

【経歴】
日本大学芸術学部放送学科 ⇒ バウハウス大学ワイマール・造形美術学部修士課程 ⇒ パブリックアーティストになり、イタリアでハーブティープロジェクトやフィンランドとスペインでジャムを地域通貨にするプロジェクトなどアジア・ヨーロッパで活動 ⇒ ブルーエコノミーを学ぶ ⇒ DYCLEを創業

ビジネスに多様性が必要な理由とは

渡邊

松坂さん、本日はどうぞよろしくお願い致します。

松坂さんが立ち上げたDYCLEは、赤ちゃんの紙オムツから出る大量のゴミを減らし、土壌の表土再生を目指すため土に還るオムツを作っているのですよね。

表土とは:土壌の最上層の部分。腐植質を含み、農耕に重要な土。

松坂

はい。そうです。弊社のビジネス内容についてはこちらのページを参照してくださると幸いです。

IDEAS FOR GOOD
土に還るおむつ「DYCLE」から考える、リジェネラティブ・ビジネス | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガ... 土に還るおむつを通して、循環サイクルを実現するベルリン発のスタートアップ・DYCLE。Ecological Memes主催のオンラインフォーラムで語られた、リジェネラティブ・ビジネ...
渡邊

承知しました。DYCLEさんの事業内容は、こちらのページやインターネット上でたくさん読むことができるので、今回のインタビューでは、社会起業家に関する質問をお聞きしたり、大学生に向けてメッセージを頂いたりできたらと思います。

渡邊

では早速、一つ目の質問に移らせて頂きます。

DYCLEのサポートメンバーの写真を見ると、様々な国から来ているという印象を受けました。ダイバーシティーな環境はビジネスにおいて重要だと思いますか?

松坂

はい。現在、社会問題が世界規模で複雑化しているので、ダイバーシティはとても重要であると思います。

確かに、同じ環境で育った同じ民族同士で仕事をすると、考えが似通っていて決断をすぐしやすいという面で、効率は良いです。しかし、例えば東京だけで問題が解決していて他の県では未解決だったり、日本では解決できたけど他の国では解決できていないようでは、本質的な問題が解決できたとは言えないと思います。

なるほど。だから御社では、それぞれの国や地域でとれる天然材料を使って、現地の人たちがオムツ生産をし堆肥化できる分散型生産ラインを開発されているのですね。

松坂

そうですね。

オムツのゴミ問題や土壌の劣化問題は、日本だけでなく、世界中の問題です。地球全体で問題を解決したい時に様々な国の人がいれば、多様な視点で課題を捉えることができます。そしてホリスティック(総体的)な解決方法を見つけやすいです。

松坂

私たちは今後、堆肥化できるオムツの循環システムを世界中の人々とシェアしていきたいと考えています。多様な仲間との開発経験が、自然環境の違いの他に、人種性別、国籍、文化・宗教的な背景、国の経済状況の違いなどを超えて、お互いの経験から学び合うLearning Network (学び合うネットワーク)を作る際の土台となって欲しいと考えています。

英語は話せると良い、苦手なら他の言語に挑戦してみよう

ありがとうございます。ビジネスや社会問題を解決するために、多様性がいかに重要であるかがよく分かりました。

では次の質問です。ビジネスを行う上で英語は話せるべきだと思いますか?

松坂

英語は話せると良いと思いますが、全ての人が話せるべきとは思いません。

というのも、皆が働く際に英語を使うとは限らないからです。ただ、もし言語を学習するのが好きなら、英語だけでなく、イタリア語、フランス語などの他の言語に挑戦すると楽しいと思いますよ。特に大学生は言語の授業を無料で大学で受けられますし。もし英語が苦手でも、英語以外の言語を学習すると意外と面白いかもしれません。

松坂

私は、大学二年生のときに、中国語よりイタリア語の方が自分に合っているなと気づきました。また、大学四年生の際には、ドイツ語とフランス語の授業に遊びに行っていました。そして今、DYCLEはドイツの会社なので、共通語の英語の他にドイツ語も使っています。

このように、大学で楽しく言語を勉強したら、思いがけないところで将来役に立つかもしれません。

渡邊

なるほど、大学生の特権を生かして英語だけでなく他の言語を学んでみるのも良いのですね。

私は今中国語とイタリア語の授業を履修しています。とても楽しいので、大学を卒業するまでに中国語とイタリア語を使って話せるように頑張ります!

ソーシャルビジネスのアイデアを思いつくための4ステップ

渡邊

では次の質問です。私は将来的には社会起業家になりたいのですが、何の社会問題を、どのように解決する、といったアイデアがまだ思いつきません。ソーシャルビジネスのアイデアを思いつくのには何が必要だと思いますか?

松坂

ソーシャルビジネスのアイデアを思いつくには、主に次の4つのステップがあります。

  1. 日常生活でちょっとした不快な気持ちに気がつく
  2. 本や他の人と意見を交換するなどして自分なりに考察し、とことん問題の本質に向かい合う
  3. その中から初めて解決策を見つける
  4. 素早く失敗して学んでいく
松坂

社会問題は皆が気付いていないだけでまだまだ沢山あります。それをまず、気づくことから始めましょう。自分の気持ちに素直になり、不快だな、なんか嫌だな、と感じたことに気づけるようになりましょう。

そして、何でその問題が起きているのかを本なり人に聞くなりして調べ、その問題がおこっている根本の原因を考えましょう。

松坂

問題の根本の原因を考えたら、解決策をたくさん練りましょう。解決策を考えたら、ひとつずつ実際に行動に移します。1人でもがき始めると、賛同者が集まります。その社会問題を調べているがまだ行動に移していなかった人、情報を提供してくれる専門家、ネットワークや資金、時間を提供してくれる仲間が徐々に増えていきます。そして大きなチームになっていくのです。

渡邊

ありがとうございます。ソーシャルビジネスを考えるための4ステップにならって、アイデアを見つけたいと思います!

何かを変えたいという強い意志が無いなら、留学に行ってもあまり意味が無い

渡邊

次の質問です。DYCLEさんの本社があるベルリンでは、チャレンジ精神がある人が多いと聞きました。

チャレンジ精神を養うために、留学は有益だと思いますか?

松坂

チャレンジ精神は、何かを変えたい!という熱い気持ちからくるものです。そのため、もし現状維持を望み、何かを変えたいという思いが無いのなら、わざわざ留学してチャレンジ精神を養う必要はないです。

ただ、何かを変えたい、けど日本では難しい、と感じる人は外に出てみるのも良いと思います。例えば、ヨーロッパでは日本より仕事における男女格差は少ないですし、市民の環境問題への意識も高いです。

松坂

また、もし留学の機会が与えられているなら、自分の可能性を広げたり、違う文化に触れる経験をするために、留学をしてみることをおすすめします。そして人それぞれに自分の学び方があります。最終的にはどうしたらスムーズに学べそうか自分なりの方法を見つけて行けたらいいですよね。

ワクワクする楽しいほうを毎回選択していくと、自分に最適な方法で学んでいることが多いようです。

渡邊

なるほど、留学生や帰国子女が沢山いるオールイングリッシュの授業が大変で、留学を躊躇していたのですが、日本とは違う文化に触れてみたいので、留学に行ってみたくなりました!

まとめ:言語学習、留学など色々チャレンジしてみよう!

今回は社会起業家になりたい人、特に大学生に向けて、環境に優しい赤ちゃんのオムツを作り、循環型モデルを開発した松坂愛友美さんにお話を伺いました。松坂さんのインタビューからは、以下のことを学びました。

  1. 社会問題が複雑化しているため、ソーシャルビジネスでは様々な国の人と一緒に働くことが大切
  2. 様々な国の人と働くためには、多様な言語を話せた方が良いので、言語の学習が無料な大学生時代に、英語に限らず様々な言語を学んでみよう
  3. 何かを変えたいという思いがあり、自分の視野を広げたいなら、留学はとても役に立つ
  4. ソーシャルビジネスのアイデアを思いつくための4ステップ
    • 日常生活でちょっとした不快な気持ちに気づく
    • 自分なりに調べ考察する
    • とことん問題の本質に向かい合う
    • その中から初めて解決策を見つけ、素早く失敗して学んでいく

また、今回のインタビューを通した感想です。

渡邊:社会問題が自国の国にとどまらず、複雑化しているから、ダイバーシティーな環境は、ビジネスにおいて重要だという考えに大いに納得しました。また、言語を学ぶとその言語を話す友達と仲良くなりやすいし、今後役立つかもしれないから、大学で言語をもっと真剣に学び、身につけたいと思いました。将来の可能性を広げたいと思ったので、留学に行ってみようと思いました。私も松坂さんみたいに、自分が解決したい問題を見つけて、じっくり問題の根本のところを探し、ビジネスに繋げることができる社会起業家になりたいです。

辛:松坂さんが仰られた自分の解決したい社会問題に出会えた場合、その問題の解決方法に重点を置かずに問題自体と向き合うという言葉にとても考えさせられました問題自体と向き合うことで多くの視点、普通では気付けない点までも拾うことができ、そこから輪が広がりビジネスといった形まで持っていけるのだなと現実味が湧きました。

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この記事の編集者

ソーシャルエッグメンバーの渡邊紗彩と申します。早稲田大学社会科学部の1年生です。現在はLGBTQ+や移民問題に興味があります。ソーシャルエッグを盛り上げていけるように頑張ります!

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