ソーシャルビジネスを学べる本を一覧で紹介!【2024年最新版】

今回は、ソーシャルビジネスを学べるおすすめの本を、一覧形式で紹介していきたいと思います。ソーシャルビジネスを全く知らない方におすすめの本だけでなく、既に社会起業家として活動している方におすすめの本も紹介していくので、ぜひ読んでみて下さいね。

記事内の書籍情報は適宜追加・更新していきます。また、ライターの感想もライターが実際にその本を読み次第、追記をしていきます。

目次

ソーシャルビジネスって何?ゼロから学べる初心者におすすすめの本

9割の社会問題はビジネスで解決できる

『ソーシャルビジネスしかやらない会社』のボーダレス・ジャパンを立ち上げた、田口一成さんの本です。日本・海外で30社以上のソーシャルビジネスを起業しているボーダレスジャパン・グループ。その会社を立ち上げた田口さんが、なぜ社会問題の解決にビジネスが必要なのか、ソーシャルビジネスの特徴的な考え方などを、分かりやすく解説しています。

ライターの感想(下谷 航希)

私が初めてソーシャルビジネスを知ったのも、この本でした。『善意だけで買ってもらう商品やサービスは長続きしない』というフレーズに、大きな気付きを受けました。社会貢献のための商品は、1回は買ってもらえても、何度も買ってもらえる商品にはなり得ない。ずっとボランティアをしてきた自分にとって、社会問題をビジネスとして捉えるきっかけになりました。ソーシャルビジネスに興味を持った人は、まずこの本を読んでおけば間違いない!という本です。

社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門

認定NPO法人『フローレンス』を立ち上げ、世界を変える社会起業家100人にも選ばれた、駒崎弘樹さんの本です。社会課題を解決するための仕組みづくりの方法、資金調達先の選び方、行政との付き合い方など、ソーシャルビジネスを起業するには必見の入門書です。

ライターの感想(下谷 航希)

この本は「何か社会課題解決をやりたいけど、何をやりたいのか分からない」という人におすすめです。他の多くの本は、すでに解決したい問題が決まっている状態からスタートしている場合が多いです。しかし、この本では「何の社会問題に取り組みたいか分からない。けど、漠然と社会課題解決に関わりたい」という人が、「どうやって自分の興味分野を見つけるか」から記述されています。解決したい社会課題を見つけ、それをどう実現するかまでが記述されています。

ソーシャル・ビジネス革命――世界の課題を解決する新たな経済システム

『ソーシャルビジネス』という概念の提唱者であり、ノーベル平和賞も受賞した、ムハマド・ユヌス博士が2010年に出版した本です。前半ではソーシャルビジネスの定義や概念を説明し、後半ではユヌスさんが実際に手がけた事例(ダノンやアディダス、インテルなどとの共同事業)の紹介を行っています。

3つのゼロの世界――貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済

こちらもムハマド・ユヌス博士が著者となり、2018年に出版された本です。『ソーシャルビジネス』『起業家の精神』『金融システムの再設計』の3つの考えを基に、近年分断が加速する資本主義社会への解決策としてソーシャルビジネスを提示しています。

社会起業家になりたいと思ったら読む本 未来に何ができるのか、いまなぜ必要なのか

社会起業専門のジャーナリスト『デービッド・ボーンステイン』とグラミン銀行創設メンバーの『スーザン・ディヴィス』による、社会起業の全体像を簡単に纏めた本です。著名な社会的企業の事例を紹介しながら、社会起業の心構えや想いを重点的に解説していて、ソーシャルアントレプレナーになるためのモチベーションを高めてくれる一冊です。

社会貢献でメシを食う。

『就職を前にした、社会貢献を目指す若者向け』と銘打った本になっていて、卒業後の進路として『社会起業家になる』『NPOやNGOに就職する』『一般企業に勤めながら社会貢献をする』『プロボノ活動を行う』の4つの選択肢を提示しています。社会貢献を仕事にしていくために悩んでいる大学生に、進路の選び方としておすすめの一冊です。

国際協力のソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでマーケティングディレクターだったジョン・ウィッドが、どのようにして途上国で図書館を作るNPO『Room to Read』の起業を成功させたのかを記した本です。会社で働いている社会人で、『社会問題に本気でコミットしていきたい』と考えている人におすすめの本です。

ライターの感想(下谷 航希)

ジャンルとしては国際協力に入るのですが、これは是非ソーシャルビジネス・NPO法人の起業をしてみたいという人に読んでもらいたいです。作者のジョンさんは、ネパールで「図書館に本がない」という教育現場に遭遇し、居てもたってもいられずその日のうちに「本を送ってくれ」と同僚にメールをしました。絶対に社会問題を解決するという強い情熱を原動力に、ゼロから本を集め、仲間を集め、資金を集め、2000校以上の図書館・学校を作る様子は、まさに社会起業家の鏡のような姿なので、これから社会起業家を目指す方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

世界一大きな問題のシンプルな解き方――私が貧困解決の現場で学んだこと

貧困問題解決のための企業『International Development Enterprises』を設立した、故ポール・ポラックさんの本です。彼は『実践的なビジネス戦略を用いて、1日1ドルの貧しい人々の収入を増やす』ことをミッションに、全世界8億人の貧困問題に携わってきました。序章~第2章では、貧困問題に興味を持った理由と、クリエイティブな社会問題解決の考え方を紹介。第3章~第8章では、貧しい人たちが利益を獲得できるようにする手法を解説しています。第12章では、実際に1日1ドル未満で生活していたネパールの農家が、年間4800ドルを稼げるようになるまでのストーリーが記されています。

ライターの感想(下谷 航希)

この本は、著者の自伝的な意味合いが強く、自分的にはそこまで参考になりませんでした。「どうやってその事業を作り上げたか」ということよりも、著者の実績にフォーカスして書かれており、国際協力に興味を持つ人が最も気になるであろう「事業の立ち上げ方」はあまり記述されていません。「農業×貧困×国際協力」の3つすべてに関心がある方は、読んでみても良いかもしれないです。

裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~

途上国の素材や職人の力を集め、高品質なレザー商品を生産している『マザーハウス』創業者の山口絵理子さんのエッセイ本です。いじめにあった小学校生活、強くなりたいと思い全日本柔道ジュニアオリンピックカップ-48kg以下級で7位に入賞した高校生活、途上国援助に目覚めアジア最貧国だったバングラデシュに渡った大学生活。その後、バングラデシュでの過酷な現実を必死に乗り越えて、マザーハウスを創業するまでの軌跡が描かれています。

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける

『裸でも生きる』の続編で、マザーハウスを創業した後の事業運営について描かれています。日本での直営店のオープンから現地スタッフの裏切り、ネパールでのブランド立ち上げの挑戦などの話が記されています。

辺境から世界を変える ――ソーシャルビジネスが生み出す「村の起業家」

こちらは、アジアの発展途上国におけるソーシャルビジネスを紹介している本です。インドの太陽光発電事業や安価な医療事業、フィリピンの水不足解消事業、バングラデシュの教育事業など、アジアの社会起業家が実現した7種類のソーシャルビジネスを解説しています。

地方創生・地域活性化のソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

日本初の『ゼロ・ウェイスト宣言』を行った、徳島県上勝町。この町はリサイクル率80%という驚異的な数値を出していて、世界からも注目を集めています。一昔前は過疎寸前だった上勝町で、70代・80代のおばあちゃんたちが、葉っぱを売って年間2億6000万円の売上を出し、今では人口の2倍もの視察者を呼び寄せています。この本では、上勝町が変わるきっかけとなった『彩』事業を解説しています。

アパレル関係のソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

ワンピースで世界を変える! 専業主婦が東大安田講堂でオリジナルブランドのファッションショーを開くまで

ジェンダーフリーのかわいいファッションブランド『ブローレンヂ』を起業した、ブローレンヂ智世さんの本です。ビジネスの知識が全くなかった智世さんが、どのようにして融資を獲得し、工場と契約を行い、最終的に東京大学でファッションショーを開くまで至ったのか、その経緯が記されています。

ライターの感想(下谷 航希)

起業は難易度が高くて自分には手が届かない…。そんな風に思っている人にこそ、ぜひ読んでみてほしい本です。全くビジネスの知識がなくても行動力と熱量を糧にして、四苦八苦しながらも事業が形作られていく姿を感じ取ることができます。ソーシャルビジネスに関する熱い想いがあるけれど、まだ行動できていないという方はぜひ読んでみて下さい!

教育関係のソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

アメリカにて、教育格差を無くすため、卒業後の大学生を貧しい学校の教師として送り込む教育NPO『Teach For America』を創業したソーシャルアントレプレナー、ウェンディ・コップさんの本です。インテルCEOやブッシュ夫人から支援を受けていたり、NPOながら「全米理想の就職先第10位」に選ばれるなど、大きな社会変革を及ぼしている『Teach For America』のアイデアと創業ストーリーが描かれています。

ライターの感想(下谷 航希)

教育関係で起業したい・NPO法人を作りたい、という人はマストで読むべき本です。教育を大きく変えるためには、莫大な費用と人員・優秀で理念の合う人材・死ぬ気で働く胆力が必要だということが分かります。Teach For America創業当初、全米に派遣したスタッフの賃金として毎週1500万円がかかっていました。それを自転車操業状態で、様々な財団を駆け回り調達し、2日に1回しか寝れない生活で過ごしていたという話を読むと、本気で教育を変えるために必要な情熱と胆力が見えてきます。

エシカル・環境問題のソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

社員をサーフィンに行かせよう――パタゴニア経営のすべて

環境問題に対して熱心に取り組んでいる企業として有名なパタゴニア。その創業者がどのようにして、今のパタゴニアのビジネスモデルを作り上げたのかを纏めた本です。利益を目的としない財務会計や、メッセージ性を重視したマーケティングなど、ソーシャルビジネス特有の経営理念が記されています。

レスポンシブル・カンパニー

こちらもパタゴニア創業者『イヴォン・シュイナード』が書き上げた、社会的責任とビジネスの両立に関する本です。持続可能な経営を行うために、経営者が・現場の社員がどんなことをすべきかが纏められています。巻末には、『責任ある企業のチェックリスト』が付録されています。

社会的投資に関するソーシャルビジネスを学びたい人向けの本

ブルー・セーター――引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語

チェースマンハッタン銀行・スタンフォード大学MBA・ロックフェラー財団など数多くの金融機関に携わった後、貧困問題に取り組む起業家に投資するベンチャーキャピタル『アキュメン・ファンド』を起業した、ジャクリーン・ノヴォグラッツさんの本です。貧困問題を社会的投資から解決する方法を知る事ができます。

ムハマド・ユヌス自伝

貧しい人に無担保で資金を援助し、生活が成り立つよう事業支援まで行う『グラミン銀行』創設者、ムハマド・ユヌス博士の自伝です。彼がどのような環境で育ち、故郷バングラデシュでどう仲間を集め、銀行を立ち上げ、融資を行っていったのかが、ユヌスさんの半生と共に記されています。

ソーシャルビジネスのアイデア・ビジネスモデルを考える際におすすめの本

笑える革命 ――笑えない「社会課題」の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説

認知症の方がホールスタッフを行う『注文をまちがえる料理店』や、LGBTQの人達と温泉に入りながらみんなが楽しめる温泉を考える『レインボー風呂ジェクト』など、奇抜なアイデアのプロジェクトを行う小国士郎さん。社会課題を神妙に捉えるのではなく、笑顔で楽しく行う『笑える革命』の思考法が記されています。

ライターの感想(下谷 航希)

社会課題の事業化の方法が分かる本というよりは、なぜそんな奇抜なアイデアが思いつくのか?というアイデアの源泉が垣間見える本となっています。1時間ほどで読める、かなりさくっとした内容なので、まずは簡単にソーシャルビジネスのアイデアを知りたいという方におすすめです。

社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた――マッキンゼーでは気づけなかった世界を動かすビジネスモデル「Winの累乗」

発展途上国の給食支援事業で有名な、NPO法人『Table for Two』代表理事の、小暮真久さんの本です。週末ボランティアでなく自分の仕事で、社会問題をビジネスから解決するヒントが記されています。『仲間』『顧客』『コミュニティ』『出資者』『競合』の5つの領域に対して、どのようなビジネスモデルを組み立てれば、双方にWinが与えられるのか?を記しています。

NPO法人を起業したい・NPO法人の運営について学びたい人向けの本

ゼロのちから――成功する非営利組織に学ぶビジネスの知恵11

海外の巨大NPOの事業事例について纏めた本です。ウィキメディア財団、Teach For America、KaBOOM!など世界規模のNPOを10法人以上紹介しています。お金も人も経験もノウハウもない非営利法人が、どのようにして業績を伸ばし、イノベーションを起こしているのかを知る事ができます。

ソーシャル・スタートアップ――組織を成長させ、インパクトを最大化する5つの戦略

アメリカでの非営利団体の社会起業家を取材し、社会課題解決に必要な戦略を5つに纏めた本です。「アイデアをテストする」「インパクトを測定する」「実験的な資金調達を行う」「共同でリーダーシップをとる」「魅力的なストーリーを語る」の5つから、社会起業立ち上げの戦略を紐解く。

ライターの感想(下谷 航希)

本書に書かれている事例は、1億円以上規模の非営利団体がメインとなっています。そのため、大規模な非営利団体を運営していきたい・既に運営している人向けの本かと思います。寄付金と事業収入の割合をどれくらいにするか、アウトカムの測定方法はどうするか、集めたデータをどう分析し資金調達に繋げるか、などが記載されています。付録として、アメリカの巨大非営利法人のまとめが50団体ほど記載されています。

世界を変える偉大なNPOの条件

ソーシャルセクター版『ビジョナリーカンパニー』という触れ込みで、世界規模のNPOがなぜこのような結果を出せているのかを分析した本です。12のNPOを研究・分析し、統計的研究から、どのような理念・行動指針を持っているNPOが社会を変革しているのかを紹介しています。

ライターの感想(下谷 航希)

ソーシャルセクター版『ビジョナリーカンパニー』という触れ込みの通り、ビジョナリーカンパニーと同じように、上手く行っている社会的企業・そうでない社会的企業をデータで比較し、それらの共通点を考察しています。ただし、本著の内容は『かなりアメリカ的なソーシャルセクターの内容』であり、日本で同じように通用するかは分からないです。政策提言や寄付の募集などはかなりアメリカ的な手法であると感じました。

NPO法人のすべて : 特定非営利活動法人の設立・運営・会計・税務

NPO法や税制の改定に伴い、定期的に更新されていて、現在増補11版目となっている本です。NPO法人の設立から、会計・税務などの運営実務までを網羅しており、税務経理協会から出版されています。

これはよくわかる! 社団・財団・NPO法人の運営・会計・税務

『一般社団法人』『一般財団法人』『公益社団法人』『公益財団法人』『NPO法人』を比較し、それぞれの起業の方法や税制、理事会の行い方、監査についてなどを纏めた本です。各法人の特徴や、メリット・デメリットの比較が細かく記されています。

ライターの感想(下谷 航希)

非営利法人を起業・運営しようと思っている人向けの本です。各法人の会計処理や税務・理事会の運営方法などがかなり細かく載っているため、非営利法人運営時の辞書として持っていると、何かと便利だと思いました。これから非営利法人を立ち上げようと考えている方、どの法人を立ち上げようか迷っている方におすすめです。

NPOのためのマーケティング講座

NPOセクターのマーケティングは、一般的なビジネスとは視点が異なります。そんなNPOのターゲット設定の方法や、5Cについて、支援者向けマーケティングと受益者向けマーケティングの方法、マーケティング成果の評価方法などを記した本です。

ライターの感想(下谷 航希)

難易度は少し高めで、実際にNPOで事業運営に携わっている方向けの本だと思います。『NPOに求められているのは成果』という直球な意見から、社会課題に対してきちんと成果を出すためのマーケティングを記しています。PEST分析やセグメンテーション変数の付け方、NPOでの広告の打ち方など、NPOでマーケティングを担当している方にはかなり重宝する本になると思います。

まとめ:ソーシャルビジネスを学べる本はまだまだたくさんある

今回紹介した本の内容から、起業するにはどうすればいいか悩んでいる方に、何かヒントになればと思います。また、これらの本の他にも、ソーシャルビジネスや社会起業に関する本はたくさんあります。良い本が見つかりましたら追記していくので、ぜひ定期的に見てもらえればと思います。

ソーシャルエッグでは、ソーシャルビジネスに関する知識や、最新のソーシャルビジネス情報、社会起業家へのインタビュー記事などを掲載しています。もしよろしければ、ぜひそちらもご覧ください。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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