ゴミ問題とは?ゴミ問題の現状と原因、世界で一番ゴミが多い国などを解説!

現在、世界では年間約21億トンのごみが排出されています。

この膨大なごみは焼却炉で燃やされたり、埋め立て地に埋められたり、荒野に放置されたり、海に漂ったりしています。排出されたゴミは、環境問題や衛生問題、自然の汚染問題など様々な問題を引き起こしています。

今回は、ゴミ問題の現状とその影響、そして解決に向けた取り組みについて詳しく解説していきます。

目次

ゴミ問題とは?ゴミ問題とゴミの種類について

ゴミ問題とは、ゴミの発生から処理までの一連の問題のことを指します。

ゴミ問題を理解するためには、まずごみの種類を知る必要があります。主なごみの種類には以下のものがあります。

① 一般廃棄物

家庭から排出される廃棄物や、産業廃棄物以外の事業活動から排出される廃棄物のことです。

食品廃棄物、紙類、プラスチック、ガラス、金属などが該当します。

② 産業廃棄物

事業活動から排出される廃棄物のうち、廃棄物処理法で定義された以下20種類の廃棄物のことです。

  1. 燃えがら
  2. 汚泥
  3. 廃油
  4. 廃酸
  5. 廃アルカリ
  6. 廃プラスチック類
  7. ゴムくず
  8. 金属くず
  9. ガラス・コンクリート・陶磁器くず
  10. 鉱さい
  11. がれき類
  12. ばいじん
  13. 紙くず
  14. 木くず
  15. 繊維くず
  16. 動物系固形不要物
  17. 動植物系残さ
  18. 動物のふん尿
  19. 動物の死体
  20. 汚泥のコンクリート固形化物など、(1)~(19)の産業廃棄物を処分するために処理したもので、(1)~(19)に該当しないもの

③ 医療廃棄物

医療機関や在宅医療などの医療行為によって排出される廃棄物のことです。

レントゲン定着液、注射器、手袋などが該当します。

人に感染する恐れがあるものは感染性廃棄物と呼び、通常の廃棄物と分けて取り扱う必要があります。

④ 電子廃棄物

電子機器や電気製品の廃棄物のことです。PC、スマートフォン、家電製品などが該当します。

ゴミ問題とSDGsの関係

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連で採択された、地球の持続的な発展を目指すための方針のことです。

17の目標、169のターゲットが存在し、経済・社会・環境の3つの観点から持続可能な社会を実現することを目指しまています。

ゴミ問題と関わりのあるSDGs目標には、以下が存在します。

SDGs12「つくる責任・つかう責任」

私たちは、地球に存在するエネルギー量の1.5倍を日々消費しています

私たちが作る責任・使う責任を考えず、大量生産・大量消費を続けていけば、次々と地球の資源が失われてしまいます。

そのため、持続的な社会を形成するためには、最適な量の生産と無駄のない消費を心がける必要があります。

また、サステナブルな商品を選んで購入するという「エシカル消費」を行うことで、SDGs12の促進に繋げることができます。

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」

SDGs13は「気候変動に具体的な対策を」という目標であり、気候変動の影響を軽減し、温室効果ガスの排出を削減するための具体的な行動を促進することを目的としています。

ゴミは焼却や埋め立てなどによって、CO2やメタンガスといった温室効果ガスを発生させます。また、不要な資源や廃棄物を移動・運搬する際にも、温室効果ガスを排出します。

使い捨て製品の削減や製品寿命の延長、廃棄物の分別といった行動を取る事で、SDGs13の促進に繋げることができます。

SDGs14「海の豊かさを守ろう」、SDGs15「陸の豊かさも守ろう」

SDGs14「海の豊かさを守ろう」SDGs15「陸の豊かさも守ろう」は、海・陸の生態系を守りながら持続的に地球資源を活用することを目的としています。

海洋ごみ問題や熱帯雨林でのゴミ不法問題などは、自然の生態系を壊すことに繋がっています。

ポイ捨てをしない、ゴミ拾いをする、ゴミ問題に対する啓発キャンペーンを行うといった行動を取る事で、SDGs14・15の促進に繋げることができます。

ゴミ問題の現状・日本と世界のゴミ問題

世界のゴミ問題の現状、ゴミ排出量が多い国ランキング

世界では、毎年約21億トン以上のゴミが排出されています。

ゴミ排出量が多い国ランキングのグラフでは、1位が中国・2位がインド・3位がアメリカとなっています。

Waste Generation and Recycling Indices 2019

このグラフで注目したいのが、アメリカの1人あたりゴミ排出量が世界の中でも突出している所です。

これは、アメリカではリサイクルが遅れているからだとされています。

アメリカのゴミ問題

アメリカでは、1日1人あたり2.2kgのごみを生み出しています。

そのゴミの処理方法を見ると、「埋め立て:50%」「リサイクル:23.6%」「焼却:11.8%」「コンポスト化:8.5%」となっています。

このようにアメリカでは、ゴミの埋め立て率が非常に高くなっています。

なぜアメリカでリサイクルが遅れているかというと、ゴミの分別が機能していないことが原因です。

多くの人がゴミを分別せずに捨てるため、安易に処分できる埋め立てが用いられているという状態です。

アジアの発展途上国のゴミ問題

中国・インドなどのアジア地域は、近年急速に経済が発展しているため、ゴミの排出量が年々増加しています。

中国では年間約5.6%ゴミ排出量が増加しており、インドでは年間約4%ゴミ排出量が増加しています。

この膨大なゴミの増加にゴミ処理機能が対応しきれておらず、無理な焼却や埋め立てが行われているのが現状です。


インドネシアやフィリピンでは、有機物のゴミしかなかった時代の名残から、ゴミを地面や海に捨てるという生活習慣がまだ根強く残っています

インドネシアやフィリンピンでは、捨てられたゴミが雨と一緒に流され、水道管を詰まらせたり海を汚染させたりしています。

またツバルやパラオなどの島国では、海岸にゴミが漂着し、海やビーチリゾートといった観光資源が失われています。


バングラデシュのダッカは、世界一大気汚染がひどい都市として知られており、その原因はゴミの焼却にあります。

ごみが野焼きされていたり、低出力の焼却炉で燃やされているため、ゴミの焼却時に多くの煙が発生し街中を覆っています。

バングラデシュでは全死者数の約1.2%が大気汚染による喘息によるものだとされています。

バングラデシュ ダッカの空気汚染

ナイジェリアのゴミ問題

ナイジェリアの首都ラゴスにあるアグボグブロシーは、世界最大の電子廃棄物の不法投棄場所です。

先進国が廃棄した電子機器が集まっており、有毒ガスを垂れ流しながらここで焼却処理されています。

電子機器には鉛、水銀、カドミウムなどの有害物質が含まれており、これらが土壌に浸透し、周辺地域の農地や地下水を汚染しています。

また、焼却処理に従事する住民は、有害な金属や化学物質に暴露されることで、呼吸器疾患や皮膚病・神経障害などの健康被害を受けています。

ナイジェリア アグボグブロシーの様子

日本のゴミ問題の現状、日本のゴミ排出量は減少傾向

日本の2023年度のゴミ年間排出量は、約4034万トンとされています。また、日本には2023年時点で1028か所のごみ焼却施設が存在しています。

なお、日本は世界のゴミ排出国ランキングでは8位となっています。

日本のゴミの年間排出量と、処理方法の内訳
2023年度2022年度
ごみ総排出量4,034万トン4,095万トン
1人1日当たりのごみ排出量880グラム890グラム
最終処分量337万トン342万トン
リサイクル率19.6%19.9%
環境省:一般廃棄物の排出及び処理状況等について

日本の一般廃棄物で一番多いゴミは紙ごみ、生ゴミ、プラスチックの順となっています。

産業廃棄物で一番多いゴミは汚泥、糞尿、がれきの順となっています。


日本では、ゴミの総排出総量・1人あたりゴミ排出量は年々減少しています。その理由は「分別の徹底」「容器の有料化」「フリマアプリの浸透」だとされています。

特にメルカリやジモティーといったフリマアプリでは、本来捨てられるはずだった物を、他の人にリユースしてもらうことが可能となっています。また、日本の「もったいない」文化もリユース推進に大きく寄与していると言われています。


日本では、沖縄や屋久島・対馬といった島嶼地域でゴミによる海洋汚染問題が深刻になっています。

特に沖縄や屋久島のサンゴは、ゴミが付着しやすい形状をしているため、多くのゴミが絡まり魚の住処を奪っています。

ゴミ問題の原因、ゴミが減らない理由

ゴミ問題は1900年代に入ってから、急速に発生し始めた問題です。

産業革命による都市部への人口集中と化学製品の発明、大量生産・大量消費社会の到来といった様々な科学的・社会的問題が、ゴミ問題を引き起こしました。

では、現代のゴミ問題の原因には何があるのでしょうか?

ここからはゴミ問題の原因と、ゴミ問題が悪化している理由について解説していきます。

ゴミ問題の原因①:大量生産・大量消費社会

資本主義による大量生産・大量消費は、ゴミの増加を引き起こしています。

古来の日本では、ゴミは地元で回収しリサイクルされる仕組みがありました。しかし、戦後の高度経済成長によって大量消費社会が到来し、モノを大切にする意識が薄れてしまいました。

今では、まだ使えるものやまだ食べられるものを、当たり前のように捨てる光景も珍しくありません。

ゴミ問題の原因②:使い捨て文化

私たちは日常に便利さを追求するため、レジ袋やプラスチック袋、使い捨てのカップやストローなどを普及させてきました。

これにより、使い捨て文化が浸透し、リサイクルされない大量のプラスチックごみが発生しています。

ゴミ問題の原因③:フードロス・食品ロス

まだ食べられる食品をゴミにする「フードロス・食品ロス」は、大きな社会問題となっています。

『食品ロス』とは、栽培・流通の過程で発生するフードロスと、小売店や自宅などで発生するフードウェイストの2つを合わせた総称です。

規格外野菜や賞味期限間近の商品を廃棄処分したり、可食部を過剰除去したり、食べ残しを廃棄したりすることで、食品ロスは発生します。

日本では毎年522万トンの食品が廃棄されていて、これはゴミ排出量の約13%に当たります。

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ゴミ問題の原因④:ゴミに対する知識が少ない

発展途上国では、そもそもゴミや分別に対する知識が少ないこともあります。

有害ゴミをそのまま野焼きしたり、プラスチック製品を道端にポイ捨てすることが、当たり前だと思っている地域も少なくありません。

学校の授業で分別について学ばず、子どもの両親も分別についてよく知らないので、ゴミの適切な廃棄の仕方が分からないという状態が繰り返されています。

ゴミ問題の原因⑤:ゴミ回収インフラの欠如

発展途上国では、そもそもゴミを回収・処分するインフラがない場合があります。

地元にゴミ回収車が来ないため自分で焼却するしかなかったり、子ども達がゴミ山で遊んでいるといった光景が少なくありません。

先進国ではゴミ排出量が減少傾向にあるにも関わらず、世界のゴミの排出量が減らない理由は、発展途上国のゴミ排出量が急増しているためです。

ゴミ問題が進むと、どんな問題が引き起こされる?

世界のゴミ排出量は年々増加の一途を辿っています。

特に発展途上国では、これから経済が発展していきゴミの排出量が急増すると見られています。

2025年における161か国の所得別ごみ総発生量・ごみ組成質の予測

では、ゴミ問題が進行すると、どのような問題が発生するのでしょうか?ここからはゴミ問題が引き起こす問題を解説していきます。

ゴミ問題が引き起こす問題①:地球温暖化

大気中に温室効果ガスが増えることで、地球温暖化が引き起こされます。

ゴミを焼却する際にはCO2が、埋め立てた有機物が分解される際にはメタンガスが排出され、地球温暖化に繋がります。

ゴミ問題が引き起こす問題②:埋立地の不足

2023年時点では、日本の埋立地(最終処分場)の残余容量は9666万m³、残余年数は23.4年となっています。

つまり、現在の勢いのまま埋め立てを続けていけば、あと24年後には最終処分場がいっぱいになってしまうということです。

高度経済成長期の東京では最終処分場がいっぱいになったことで、『夢の島』という埋立地を作りましたが、夢の島からハエやネズミの大群が発生し、地元住民の生活を脅かしました。

このような事があったため、現在は新規の埋立地が承認されることはなかなか難しいという状態です。

ゴミ問題が引き起こす問題③:公害の発生

ゴミの埋め立て・焼却時には多くの汚染と公害を引き起こします。

1990年代の日本では、廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシンが大気汚染の大きな原因となっていました。

ダイオキシンは発がん性物質として知られ、長期間にわたる暴露はガンや免疫系の障害を引き起こす可能性があり、実際に皮膚障害や肝機能障害などの健康被害・公害が発生しました。

また、埋立地から環境ホルモンヒ素といった有害物質が漏れ出ることがあり、浸出水によって地下水が汚染される事例も生じています。

ゴミ問題が引き起こす問題④:公衆衛生問題

ゴミが溢れると、その地域の衛生環境は悪化し、病気が蔓延します。

アフリカのジンバブエでは、街中にゴミと汚水が溢れており、そこからネズミを媒介とするコレラ腸チフスといった感染症や病気が流行しています。

特に川にゴミが混じると水質汚染に繋がり、下痢を引き起こします。水質汚染された水を飲むことで発生する下痢は、アフリカの子どもの死因の6割に上っています。

ジンバブエの首都ハラエの公営住宅前の様子

ゴミ問題が引き起こす問題⑤:海洋ゴミとマイクロプラスチック

ゴミは陸上だけでなく、雨や川を流れて海に辿り着きます。

2015年時点にて、世界の海洋ごみは約1億5000万トンと言われています。

世界では年間800万トンのプラスチックごみが海に流出していて、年々海洋中のゴミの量は増えています。今後、今のペースで海洋汚染が進行すると、2050年には魚の数より海洋ゴミの数の方が多くなると予測されています。

さらに、プラスチックが細かく分解されるとマイクロプラスチックが生じます。マイクロプラスチックは微生物や魚の体内に蓄積し、それを食べる私たち人間の身体にもプラスチックの破片が蓄積してしまいます。

生物濃縮のイメージ
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ゴミ問題が引き起こす問題⑥:自然破壊

ゴミが自然の中に溢れることで、海や山・川などが汚染され自然破壊に繋がります。

日本では、富士山が日本一の不法投棄場所となっていて、これまで200か所以上の廃棄場所が見つかっています。

また、海中に捨てられたレジ袋やプラスチックゴミが、熱帯雨林や海洋生物を傷つけたり、サンゴに絡まって魚の住処をなくしたりといった生き物への影響も発生しています。

ゴミ問題が引き起こす問題⑦:経済的問題

ゴミを輸送・貯蔵・処分するのにもお金がかかります。日本では、ごみ処理にかかる費用は年間2兆1290億円かかっています。

また、街にゴミが溢れることで人が寄り付かなくなったり、ビーチにゴミが溢れることで観光客が減少するという事も発生します。

2018年にはフィリピン有数のビーチリゾート「ボラカイ島」にて、多量のゴミと下水が海に排出されたことによる6ヶ月の海岸閉鎖が行われました。

フィリピン ボラカイ島のゴミの山の様子

ゴミ問題の対策とは?政府や自治体が取り組むゴミ問題対策

ゴミ問題は、自然環境だけでなく私たちの生活にも大きな影響を与えます。

世界中でゴミが増え続ける中、各国はどのような対策を行っているのでしょうか?

ここからは、各国のゴミ対策の取り組みと、日本の政府・自治体が行っているゴミ対策の取り組みを解説していきます。

海外のゴミ対策の取り組み・解決策

フランス

フランスは、EUの中でもプラスチック削減に積極的に取り組んでいる国です。

2016年には、レジでのビニール袋の提供禁止の法律を制定し、2017年からは野菜や果物を入れるビニール袋の提供も禁止しています。

2020年にはサーキュラーエコノミー(循環型経済)社会への転換を目的とした法律を制定し、2040年までに使い捨てプラスチック包装ゼロを目標にしています。

また、ペットボトルの使用を削減するため、公共の建物に水飲み場の設置を義務付けています。パリ市内だけで1000か所以上の水飲み場が設置されていて、ペットボトル飲料を買わずとも気軽に水分補給できる仕組みが整えられています。

パリ市内に1000か所以上ある水飲み場

台湾

台湾では、2030年にすべての使い捨てプラスチック製品の使用が禁止される予定です。

また、マイクロプラスチックを含む洗顔剤・ボディーウォッシュ製品の使用を禁止しています。

2022年7月からは、台湾全土で「マイボトル持ち込みで5元割引」という取り組みがスタートしました。

テイクアウトのドリンク店でマイボトルを持参すると5元割引されるというキャンペーンで、この取り組み開始後マイボトル持参者が2.5倍に増えたとされています。

台湾のマイボトル持参で5元割引制度

日本のゴミ対策の取り組み・解決策

日本では、政府主導でゴミ問題の解決策として、様々な法律を制定してきました。

これまでゴミ削減のために、以下の法律が制定されました。

  • 循環型社会形成推進基本法
  • 廃棄物処理法
  • 資源有効活用促進法
  • 容器包装リサイクル法
  • 家電リサイクル法
  • 食品リサイクル法
  • 建設リサイクル法
  • 自動車リサイクル法
  • 小型家電リサイクル法
  • グリーン購入法

地方自治体が行うゴミ対策の取り組み

また、各自治体もゴミ削減に取り組んでいます。

国内で3R(リデュース・リユース・リサイクル)が進んでいる都市は、以下となっています。

順位都市名
1位長野県 南牧村(306.6グラム / 人日)
2位長野県 川上村(327.6グラム / 人日)
3位徳島県 神山町(378.9グラム / 人日)
1人1日あたりのゴミ排出量が少ない都市ランキング
順位都市名
1位北海道 豊浦町(87.1%)
2位鹿児島県 大崎町(81.6%)
3位徳島県 上勝町(79.9%)
リサイクル率が高い都市ランキング

特に徳島県上勝町は日本で初めて「ごみを0にする」宣言を行った、ゼロ・ウェイストタウンとして有名です。

上勝町では2003年にゼロ・ウェイスト宣言を行い、現在はリサイクル率80%まで到達しています。

町内には地域の人たちが家庭ごみを持ってくる「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」が存在し、そこではごみを13種類・45項目に分別しています。

上勝町での分別の様子

企業が行うゴミ対策の取り組み

企業もビジネスからゴミ問題への解決方法を実践しています。

ゴミ問題に取り組む日本企業としては、以下の企業が挙げられます。

スズキ株式会社

船に取り付ける、海中マイクロプラスチック回収装置を開発しています。

株式会社アダストリア

洗濯時に生じるマイクロプラスチックが海に流れ出ないよう、マイクロプラスチックの流出を抑制する洗濯ネット「FIBER HOLD BAG(ファイバーホールドバッグ)」を開発しました。

帝⼈フロンティア株式会社

帝⼈は漁網アップサイクルをビジネスとして行う、日本有数の企業です。使用済みの漁網をアップサイクルし、トレイやバッグなどを製造しています。

ゴミ問題解決のために、私たちができること

日本の政府や自治体は、ゴミの排出削減やリサイクル促進に向けた取り組みを積極的に行っています。

ただ、政府や自治体だけでなく、私たち個人でできることを進めていくことも大切です。

ここからは、ゴミ問題解決のために私たちにできることを4つ、わかりやすく解説していきます。

①:3R・7Rを心がける

3Rという言葉は、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

近年、3Rをさらに発展させた5R・7Rという考えが広まっています。

これらは誰にでも簡単にできることなので、わかりやすく紹介します。

Refuse:リヒューズ(断る)

不要なものはしっかりと断り、ゴミを生み出さないようにする

  • プラスチックストローや割り箸を受け取らない
  • 不要なチラシや試供品を受け取らない

Reduce:リデュース(減らす)

使用するモノの量を減らし、ゴミを減らす

  • 食べ残しをしない
  • 使えるモノは最後まで使い切る

Reuse:リユース(繰り返し使う)

一度使っただけで捨てるのではなく、使えるうちは繰り返し使う

  • フリマアプリを使用する
  • 貰ったレジ袋は何度も利用する

Recycle:リサイクル(再資源化)

使いきった物を資源にして、新しい製品へ生まれ変わらせる

  • しっかりと分別をしてゴミ出しをする
  • 大型家電やPCはリサイクル施設に持ち込む

Repair:リペア(直す)

少し壊れてしまっても、修繕して使える場合は直して使う

  • 小さな穴が開いた服は、穴を縫って使う
  • 子どもが壊してしまった玩具を、接着剤で修理する

Reform:リフォーム(作り直す)

そのままでは使えなくなったモノも、別のモノに生まれ変わらせて使う

  • 壊れてしまったカーテンの布を布巾にする
  • 不要になった玩具箱を、本棚に生まれ変わらせる

Rental:レンタル(借りる)

自分のモノを増やし過ぎないよう、お互いシェアしてモノを使う

  • 家族でマイバッグをシェアする
  • 会社にシェア置き傘を用意する

②:ポイ捨てをしないようにする

街中にゴミをポイ捨てすると、それが雨や風に流されて自然に流出してしまう可能性が少なくありません。

生分解性プラスチックを使っていても、土中では微生物の力で分解されますが、コンクリートの上や水中では分解されることはありません。

そのため、ポイ捨てはせずにしっかりとゴミは持ち帰る、あるいは分別して捨てることが大切です。

③:食品ロスを減らす

日本人は1日あたりお茶碗1杯分の食べ残しを出していると推計されています。

なるべく食べ残しはせず、食べられる量だけ注文する、まとめ買いは控える、賞味期限が近い食材から使うといった心がけが大事です。残り物を使って簡単に作れるレシピ一覧も、ネット上で公開されています。

外食をした際に食べ残しが生まれてしまう場合は、お店の人に残った料理をドギーバッグに入れてもらえないか頼んでみましょう。

④:ゴミ拾い活動を行う

近所や学校単位でゴミ拾いをすることも、ゴミ問題解決のために個人でできることの1つです。

実際、「街が綺麗なほどポイ捨てをしにくい心理状態になる」という研究結果があります。自分のできる範囲内から街を綺麗にすることは、決して無意味ではありません。

1人でゴミ拾いはちょっと、と思う方は地元のゴミ拾いボランティア活動に参加してみてはいかがでしょうか?

ボランティアに参加する事で、ゴミを減らそうという志を持った仲間と出会うこともできますよ!

ゴミ問題について詳しく学べる、おすすめの本を4冊紹介!

もっとゴミ問題について詳しく知りたいという方のために、ゴミ問題を分かりやすく学べる本を4冊紹介します!

みんなが知りたい! プラスチックとごみ問題 開発の歴史から未来への対策までわかる本 (まなぶっく)

個人的に、小学生でも分かるゴミ問題ナンバーワンの本です!

ゴミ問題の歴史と今・将来について、網羅的にイラストを交え分かりやすく記載されています。ゴミがどうサンゴ礁に付着してしまっているのか、海の生き物の体内にどれだけのプラスチックが入ってしまっているのか、などが写真付きで掲載されています。

また、エシカル消費やサステナビリティといった最新のトレンドまで追っているため、小学生のお子さんを持つ方に非常におすすめの1冊です。

ごみ問題の総合的理解のために

この本は、ゴミ問題について非常に網羅的に解説した本です。

『ごみ問題の総合的理解』の名の通り、13のテーマから多元的視点でゴミ問題を解説しています。各テーマに演習問題も付いており、一部の高校の教科書としても使われています。

2007年出版の少し古い本ですが、今現在も変わらない問題の本質を解説しています。

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

この記事でも紹介した、徳島県上勝町の取り組みを紹介した本です。

一昔前は過疎寸前だった上勝町で、70代・80代のおばあちゃんたちが、葉っぱを売って年間2億6000万円の売上を出し、今では人口の2倍もの視察者を呼び寄せています。

この本では、上勝町が変わるきっかけとなった『彩』事業を解説しています。

海洋プラスチックごみ問題の真実: マイクロプラスチックの実態と未来予測 (DOJIN選書)

九州大学の教授で、附属大気海洋環境研究センターの研究員でもある磯辺 篤彦による本です。

磯辺教授は海の漂流・漂着ゴミを専門分野としており、この本では「海洋ゴミの現状」「プラスチックゴミの何が問題か」「マイクロプラスチックの発生原理」などを解説しています。

教授による本ではありますが、論文のように堅い文章ではなく、本として読みやすい文体になっていますよ!ある程度学術的観点から海洋ゴミ問題を学びたい方におすすめの本です。

まとめ:ゴミ問題の解決には、私たち1人1人の協力も必要不可欠!

今回は、ゴミ問題の意味や定義、ゴミ問題の事例、生き物への影響、ゴミ問題の解決方法などを解説してきました。

ゴミ問題は今のままでは今後より悪化していくという研究結果が出ています。レジ袋の有料化や紙ストローの導入・マイバッグの持ち運びなどは、ゴミ問題に与える影響は小さいかもしれません。

しかし、私たち1人1人が綺麗な地球を守りたいという意志が、大きな変革をもたらします。まずは、私たちにできることから、少しづつゴミを減らしていきましょう。

ソーシャルエッグでは他にも、社会問題に関する解説記事を掲載しています。また、これらの社会問題に取り組む企業や法人にインタビューを行い、彼らの取り組みや想いについて伺っています。関心がありましたら、ぜひそちらもご覧下さい。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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