Sketterで介護施設での「お手伝い」を身近な存在にする!鈴木亮平さんインタビュー

今回は、介護施設とお手伝い希望者(有償ボランティア)をマッチングするソーシャルビジネス「Sketter」を手がける、株式会社プラスロボ代表の鈴木さんにインタビューを行いました。

  • 介護・福祉業界で起業をしたい人
  • 介護のソーシャルビジネスのビジネスモデルを学びたい人
  • 介護業界の課題点を知りたい人

はぜひ読んでいただけたらと思います!

目次

プロフィール

【名前】
鈴木 亮平

【年齢】
31歳(2023年6月現在)

【経歴】
東洋大学社会学部 ⇒ アイティメディア株式会社 編集記者 ⇒ 株式会社プラスロボを起業

【携わっている事業内容】
Sketter:介護施設と有償ボランティアをマッチングするサービス

記者から起業家へ、日本で一番根深い社会問題を解決するため起業した

下谷

よろしくお願い致します。

本日は鈴木さんの経歴や事業の内容、事業にかける想いなどを伺っていければと思います。ではまず、鈴木さんの経歴についてお聞かせして頂けますか?

鈴木

私は学生時代から社会問題について関心を持っていて、社会問題を取材・報道する記者になりたいと思っていました。

その後、東洋大学の社会学部に進学し、社会人にインタビューを行い本を出版するという活動を3人で始めました。そこで、大学のOB・OGに「大学時代をどう過ごすべきか」というテーマでインタビューを行い、その内容を纏めた本を大学の生協で販売しました。

その際に、ゼロから自分で仕事を創り出す面白さ・仲間を自分で引っ張っていってチームで何かを作りあげる楽しさを感じ、将来は自分で事業を立ち上げてみたいと思いました。

鈴木

ただ、まずは社会に出て社会勉強をしようと思い、新卒から3年間アイティメディア株式会社で編集記者として働きました。ここでは、名刺1枚で色んな人に会えて、色んな業界・色んな事業を知る事ができ、とても学びになりましたね。

その後、独立し2017年に株式会社プラスロボを創業しました。

下谷

ありがとうございます。

昔から様々な社会問題に関心を持っていたと仰られていましたが、その中でもなぜ介護・福祉分野のソーシャルビジネスで起業されたのですか?

鈴木

自分で事業をやろうと考えた際に、日本で一番根深い社会問題は何かと考えたところ、それは介護の担い手不足の問題だと感じました。

問題解決の糸口が見えておらず、なおかつ介護の担い手を新しく目指そうという人は減少傾向で、年を追うごとに問題が深刻化しています。そのため、もし自分で事業を興すなら介護業界だと考えていました。

鈴木

また、これも起業した理由になるのですが、自分の責任で自分のやりたいことを行いたいと思っていました。人生通して仕事をしている時間って長いので、あんまり人のせいにしたり愚痴の多い日々にしたくないと思っていて。

自分で作った仕事の場合は、責任はすべて自分持ちなので、仕事で不満を感じにくいと思い、起業しましたね。

Sketterのビジネスモデルについて

下谷

ありがとうございます。ここからは、Sketterとはどのようなソーシャルビジネスなのか伺っていきたいと思います。

まずは、Sketterのサービス内容についてお伺いさせて頂けますか?

Sketterとは、介護施設とお手伝いをしてくれる人をマッチングするサービス

鈴木

Sketterとは、地域の方に有償ボランティアとして、介護施設における介護以外の周辺業務を行ってもらうための、介護施設とすき間時間を持った方とのマッチングサービスです。

鈴木

介護以外の周辺業務には、施設でのレクリエーションや高齢者とのお話相手、食事の片付け、シーツの交換など、様々な業務があります。

これらの業務は介護の資格がなくてもできますが、介護士の方々はこれらの業務に多大な時間を要しています。

そこでSketterでは、介護以外の業務を有償ボランティアの方(スケット)に任せることで、介護事業者の負担軽減を目指しています。

施設でのパフォーマンスも、介護以外の周辺業務になる

Sketterのユーザーはどんな人が多い?集客はどのように行っている?

下谷

なるほど。Sketterでお手伝いを担ってくれる方は、どのような方が多いのでしょうか?

鈴木

Sketterに申し込んでくださる方は、65%が介護未経験の方です。高校1年生から登録可能で、16歳~85歳くらいまでの方がスケットとして参加してくださっています。

特に最近リピートスケッターとして多いのが、70代の元気なアクティブシニアの方々ですね。「フルタイムでは働けないけど短時間なら手伝える」という方が、定年退職後のライフワークとしてSketterを利用してくださっています。

鈴木

また、学生からも「普通のバイトアプリでは得られない体験や人付き合いを、有償ボランティアとして関われる」という観点から好評を頂いています。

下谷

老若男女問わず多くの方が参加されているのですね。高齢の方は、ホームページを見ることが少ないと思うのですが、どのようにしてSketterのサービスを知るのでしょうか?

鈴木

そうですね、結構口コミで広がっていますね

Sketter自体は毎年約1000人ずつ登録者が増えているのですが、全部口コミですね、広告とかは一切行っていないです。活動したスケッターの方が体験レポートを投稿できる仕組みがあって、ここからの発信で口コミが広がっている印象がありますね。

Sketterでの活動写真

Sketterを利用する法人や依頼内容は、どのようなものが多い?

下谷

ありがとうございます。

続いて求人を出す側についてもお伺いしたいのですが、Sketterを利用される法人さんは、どのような規模感や業種の企業が多いのでしょうか?

鈴木

会社の規模は大小様々ですね。業種はデイサービスや老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅など、いわゆる介護施設と呼ばれる所が主流です。ただ最近だと、放課後デイサービスや障がい者グループホームなど、高齢者に限らず福祉領域全般の企業さんにご利用頂いています。

鈴木

依頼の内容としては、車いすの清掃や、楽器の演奏、写真撮影、囲碁・将棋の相手、料理の盛り付け、介護施設のロゴの作成やPR動画の作成など、本当に多岐に渡りますね。

高校生でも近所の方でも、誰でも気軽に携われる依頼を掲載してもらっています。

渡邊

スケッター(お手伝い)さんへの報酬設定は、どのように付けているのですか?

鈴木

これは、介護施設側が自由に設定できるようにしていますね。

学生インターンを雇うことで、介護施設に若い人からの意見を提供

下谷

Sketterでは、インターンとして大学生の方を多く雇っていると聞きました。学生がSketterの運営メンバーに携わることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

鈴木

そうですね、現在10名前後の学生にインターンとして働いてもらっています。彼らは介護事業者に対して若い目線からの意見やアイデアを出してくれるので、とても助かっています。

鈴木

介護施設の事業者さんの多くは、求人のための若年層へのPRに苦労しています。その理由としてよく挙げられるのが「若年層の価値観が分からない」「若年層が気にする所が分からない」ということです。

そこで弊社の大学生インターンと介護事業者の間で、どのようなPRが若年層に刺さるか意見交換を行っています。これにより、若者目線でのSNSでの発信や、宣伝動画の制作などが実施されています。

鈴木

また、昨年度は大学生と介護事業者を集めて、「どうやったら介護施設が大学生に刺さる情報発信ができるか」をテーマにしたアイデアソンを実施しました。総勢50名以上の学生と9社の介護事業者にご参加頂き、学生が本当に求めている介護へのアプローチを議論することができました。

学生と介護事業者によるアイデアソンの様子
下谷

学生と介護事業者との橋渡しも行われているんですね。

なぜSketterさんの元に、多くの介護に関心がある学生が集まってくるのでしょうか?

鈴木

毎年福祉・社会系の大学で登壇を行っていて、そこから興味を持ってくれる方が多いですね。大学ではSketterが職業体験ツールとして取り入れられていて、Sketterを行うことで単位が取れる学部も存在しています。

今後も教育機関との連携は広げていきたいと思っています。

Sketterを通して日本人全員がご近所づきあいとして支え合う文化を作りたい

下谷

ここまでありがとうございました。

最後に、鈴木さんがSketterを通じて目指している未来について教えて頂けますか?

鈴木

まず「介護」と聞くと、とてもハードルが高いことに思われがちです。また、身近に介助対象者がいないと、介護は自分と無縁の存在に感じてしまいます。

実際はそんなことはなく、いつか年齢が上がれば、多くの人は介護は受けることになります。

鈴木

そのためSketterでは、「すき間時間に、誰でも気軽に、介護に携われる」ことで、より介護や福祉の現場を身近に感じてもらおうと考えています。

それこそ演奏や歌唱などの特技を披露して、利用者さんに楽しんでもらうことも、立派なレクリエーションの一環です。

Sketterでの活動を通して、介護に対するハードルを下げ、最終的には日本人全員が「ご近所づきあい」のように、お互い助け合う文化が醸成されればと思っています。

下谷

介護とは身体介助のイメージでしたが、他にも多くの携わり方があることが分かり、少し介護に対するハードルが下がった気がします。

本日はありがとうございました。

まとめ:介護をより気軽に携われる社会を目指して

今回は、介護事業者とお手伝い希望者をマッチングするサービス「Sketter」を運営されている、株式会社プラスロボ代表の鈴木亮平さんにインタビューを行いました。

鈴木さんは介護をより身近に、より気軽にできる存在にするため、Sketterというサービスを立ち上げました。そこでは、高校生から80代までの方が介護施設のレクや清掃活動などのお手伝いから、介護現場に携わっています。また、鈴木さんは新卒で記者として働いた後、25歳で起業されています。将来介護業界で起業したいという方は、キャリアプランとしても参考の一例になればと思います。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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