株式会社コル「食のアップサイクルやソーシャルグッドメディアを手がける」代表の福元雅和さんインタビュー!

今回は、コーヒーかすのアップサイクル事業やソーシャルグッドなメディア事業を手がける、株式会社コルCEOの福元さんにインタビューを行いました。

  • 様々な社会課題解決事業を手がけたい人
  • 新規事業の立ち上げに関心がある人

はぜひ読んでいただけたらと思います!

目次

プロフィール

【名前】
福元 雅和

【年齢】
49歳(2023年5月現在)

【経歴】
横浜市立大学商学部 → コンサルティング会社 → 地方中小企業の営業支援会社の代表 → 多数の新規事業立ち上げ支援 → 株式会社コル代表

【携わっている事業内容】
ソーシャルグッドCatalyst:ソーシャルグッドな人や事例を紹介するメディア

アップフードプロジェクト:アップサイクルで食を持続可能にアップデートする共創プロジェクト

消防服のアップサイクル事業

アクセラレータープログラム「GAPsSAGA」で採択された際の写真

多様な新規事業の立ち上げ経験を元に、株式会社コルを設立

下谷

本日はよろしくお願い致します。

ではまず、福元さんの経歴をお聞かせして頂いてもよろしいでしょうか?

福元

はい、大阪生まれ岐阜県育ち、横浜市立大学商学部を卒業し、商社とコンサルティング会社を経て、地方中小企業の営業支援会社の代表に就任しました。

この会社を黒字化させ成長軌道に乗せた後に退任し、ベンチャー企業のCOOとして、国内外の新規事業立ち上げとM&Aによる事業拡大を担いました。そこで3カ国(日本・インドネシア・カンボジア)5法人の設立と、4法人のM&Aを手がけました。

福元

専門は新規事業の立ち上げですね、中小企業の支援や新規事業の立ち上げを中心に行ってきました。携わる業種はあまり絞っていなくて、食品や住宅、人材、インバウンド、ヘルスケア、IoTなど多様な事業分野の立ち上げに関わりました。

下谷

本当に多様な業種を行われていらっしゃるんですね。

福元

そうですね。新規事業を作る所、0⇒1の所が好きなので、ここを中心にずっとやってきているという感じです。

下谷

これらの新規事業立ち上げの経験を元に、今の会社を設立されたのですね。

元々は商社やコンサルティング会社に勤めていたが、社会課題解決を行うようになった理由とは

下谷

福元さんは、もともと社会課題の解決に興味があったのでしょうか?

福元

いえ、そんなことはなかったです。

大学生の頃は「自分で事業をやってみたい」「30歳までには起業したい」と思っていた、ある種起業志向が強いタイプでした。そのため、大学卒業後はまず、商社で3年間ビジネスの修行を行いました。

福元

その後、地方の中小企業のマーケティング支援を行うコンサルティング会社に入りました。その会社は社長1人しかいなかったので、社長の弟子みたいな形で事業運営を学んでいましたね。

そこで地方の企業に触れたことが、社会課題に興味を持ったきっかけです。

下谷

地方の会社のどういった所を見て、社会課題に関心を持たれたのですか?

福元

んー、そうですね…。判官贔屓(ほうがんびいき・はんがんびいき)という言葉をご存じでしょうか?語源は、源頼朝という巨大な兄に虐げられている義経に対する同情心・応援心で、現代風に言い直すと「負けている方を応援したくなる気持ち」のことです。

福元

私、元々テレビで野球や格闘技を見ていると、劣勢な方を応援したいタイプなんです。そういった「頑張っているんだけど上手く行かない人」を応援したいという性分が元々自分の中にありました。

福元

私が20年前に地方の中小企業に触れた時、地方の中小企業は都市部と比べたら非常に劣勢な状態でした。経営者や従業員は頑張っているんだけど、大きくなれない・上手く行かない、そんな課題を抱えていました。

そんな状況を見て、地方の中小企業の経営者を応援したいと感じました。これが地域活性化や社会課題に興味を持った、最初のきっかけですね。

株式会社コルの事業内容について

下谷

ありがとうございます。では次に、御社で行われている事業内容についてお聞かせ願えますか?

福元

はい、元々弊社のミッションとしては「社会課題に挑む人の力を結集して日本をSXする」を掲げています。会社として行っている事業内容は、このミッションに基づいた活動となります。

下谷

SXとはどういう意味でしょうか?

福元

SXはSustainability Transformationの略称で、企業がしっかりと利益を出しつつ、持続可能な社会の推進も行っていこうという考え方です。弊社では、社会課題に挑む人の力を結集して、日本を経済的にも社会的にもより豊かにしていきたいと考えています。

この考えの元、最初に始めたのが「ソーシャルグッドCatalyst」というメディア事業です。

ソーシャルグッドCatalyst:ソーシャルグッドな人や事例を紹介するメディア

福元

ソーシャルグッドCatalystは、ソーシャルグッドな活動をしている人や活動例を紹介する、社会課題の解決を目指すウェブマガジンです。

ソーシャルグッドCatalyst
ソーシャルグッドCatalyst|社会課題解決ウェブマガジン ソーシャルグッドCatalyst(カタリスト)は、社会課題に関するヒト・モノ・コトの情報発信を通じて社会をサステナブルにしていくことを目指す情報サイトです。
福元

最初に始めた事業がメディア事業だった理由は、私自身が社会課題に挑んでいる人をもっと知る必要があったからです。

「社会課題に挑む人の力を結集する」ためには、そうした人のことを良く知る必要がありますよね。そのため、こうした人たちの事の情報をインプットするために、メディア事業を始めました。

福元

ソーシャルグッドCatalystのカタリストは、日本語だと「触媒」という意味合いです。このメディアが触媒となって、「自分もこんな風に社会課題に対してアプローチしてみよう」「この人と一緒に社会事業を作ってみよう」となっていき、社会課題に挑む人が集う場所になればと思っています。

現在は月間10万PVくらいで、社会課題に関心のある人たちが読んでくださっています。

アップフードプロジェクト:アップサイクルで食を持続可能にアップデートする共創プロジェクト

福元

次に手がけたのが、食のアップサイクルを手がけるアップフードプロジェクトです。

UP FOOD PROJECT
UP FOOD PROJECT|アップサイクルで食を持続可能にUPdate フードロス・廃棄物削減を目指してアップサイクルに取り組む共創プラットフォーム
福元

アップサイクルとは、本来廃棄される製品を加工し、新たな利用可能な製品に生まれ変わらせることです。アップフードプロジェクトを始めた理由は、全人類が毎日複数回触れる「食」が、最も多くの人に社会課題に向き合う機会を提供できると考えたからです。

福元

現在、日本には1000以上のゴミ焼却施設があり、この数は世界の半分以上を占めています。日本では不要になった食品は全て焼却処分されていますが、食品の成分の50%は水分なので、燃焼効率はとても悪いです。つまり、燃やす必要がない物をたくさん燃やして、CO2を排出しているという状況です。

そのため、燃やされる食品を減らそうと活動しているのが、今のアップフードプロジェクトです。

福元

例えば弊社では、コーヒーかすを利用したアップサイクルフード「SOY CHIPS コーヒー&シュガー」の製作・販売を手がけています。本来捨ててしまうコーヒーかすを再利用することで、フードロスの削減を行っています。

コーヒーかすを利用したスナック菓子「SOY CHIPS コーヒー&シュガー」
下谷

食品は消費期限があるので、食べる物を別の食べる物に変えるのは難しいようなイメージがあるのですが、その点はどうなのでしょうか?

福元

そこをクリアできるのが、発酵技術であったり、新しいテクノロジーですね。このコーヒーかすのアップサイクルも、共同で制作を手がけた「合同会社醸オープンラボ」さん独自の発酵技術によって、コーヒーがらを発酵させ、タンパク質やアミノ酸の分解を行っています。

福元

今までは使用後のコーヒー豆の出し殻やコーヒーの粉は、肥料や堆肥としてしか利用されていませんでしたが、こうした最新のテクノロジーによって食べられる食品に再利用する事ができます。

アップフードの販売には、テクノロジーを持った企業や、開発を行う企業、流通を行う企業など様々な企業の力が不可欠です。そのため、弊社がハブとなって、みんなで共創(Co-Creation)してフードロス問題を解決していこうと考えています。

消防服のアップサイクル事業

下谷

コルさんでは、消防服のアップサイクルの取り組みも行われていますが、こちらはどういった流れで生まれてきたものなのでしょうか?

福元

これはもう本当にご縁で。アップフードプロジェクトを手がける中で出会った、帝人さんという化学素材の大手企業がいらっしゃいます。

この帝人さんは、漁網のアップサイクルを手がけていて、弊社と何かできないかを話し合っていました。その際、帝人さんは日本で一番消防服の素材を販売している企業で、この消防服のアップサイクルをしたいという要望をお聞きしました。

福元

そこで弊社の地元の茅ヶ崎市役所に声をかけてみた所、丁度茅ヶ崎市で消防管轄エリアの合併があり、消防服の入れ替えに伴う廃棄がでるという話を聞いて。

そこから帝人さんと茅ヶ崎市消防本部と弊社の共同で、消防服のアップサイクル事業が始まったという流れですね。

消防服を用いたアップサイクル商品
UP FIRE
UP FIRE 茅ヶ崎市消防本部と株式会社コルで、廃棄予定だった防火衣のアップサイクルに取り組んでいます。
福元

そのためこの事業は、ミッションからの逆算というよりは、人との繋がりとご縁から生まれたものですね。

福元さんがソーシャルビジネスを行っている理由

下谷

ソーシャルグッドや社会課題の解決は、利益を出す事が非常に難しい分野だと思います。

それでもこの分野に取り組まれているのは、福元さんの想いや会社のビジョンが源泉となっているからでしょうか?

福元

そうですね。一般企業もソーシャルビジネスを行うことはあると思うのですが、多くの企業は「本業を続けていくために、社会的責任(CSR)の一環として社会課題解決ビジネスに取り組む」という考え方をします。

福元

私はそうではなく、社会課題を解決したいという方が先に来ています

社会課題を解決したい、これを継続するためには利益を出していかなければならない、だから社会課題を解決しつつ利益につながるようなビジネスとして行う。この考えで弊社ではソーシャルビジネスの事業を行っています。

「社会課題に挑む人の力を結集する」共創する仲間を選ぶ基準とは?

下谷

福元さんは、仲間と共創することや、チームでプロジェクトを行うことを重視していると感じます。

福元さんが仲間を選ぶ基準は何かありますか?

福元

まず「社会課題に挑む人の力を結集して日本をSXする」というミッションに共感してもらえる人。また、本当に社会課題解決をしたいと思っている人ですね。

ソーシャルグッドを謳ってはいるものの、実態が伴っていない・矛盾した活動をしている企業はたまに見受けられます。こうした企業ではなく、真に社会課題解決のために取り組んでいる方と一緒に、日本をより良くしていきたいと思っています。

今後は、アウトカムを大きくしていき、あらゆる社会課題解決の事業を増やしていく

下谷

ここまで、ありがとうございました。

最後に、会社として今後目指している事や、福元さんが今後やっていきたい事などをお聞かせして頂けますか?

福元

まだまだ自分自身動き始めたばかりで、アップフードプロジェクト自体も2022年1月11日に始めているので、まだ1年と少しくらいです。この1年で、共感して集まってくださったパートナーが、当社含め38社となっています。

これ自体はお褒めを頂く事も多いのですが、実際できたアウトプットや、どれだけの社会課題を解決できたのかというアウトカムはこれからが本番です。ようやく最近、コーヒーかすのアップフード商品でアウトプットが出せ始めた所です。

福元

昨年の1年間は仲間集めをしてきた1年でした。次の1年は、アウトプットを出していき、社会課題解決のアウトカムを大きくしていくことが目標です。

もっともっと先は、会社のミッションに掲げている通り、あらゆる社会課題を解決するために、様々な社会課題を解決するための事業を増やしていきたいと思っています。

下谷

ありがとうございました!

まとめ:新規事業立ち上げの経験を活かし、多様な社会課題の解決を目指す

今回は、コーヒーかすのアップサイクル事業やソーシャルグッドなメディア事業を手がける、福元雅和さんにインタビューを行いました。

福元さんは豊富な新規事業立ち上げの知識と経験を元に、「社会課題に挑む人の力を結集して日本をSXする」というビジョンを掲げて事業を行っています。多様な社会課題を解決するため、それらに即した事業を立ち上げ、仲間と共にソーシャルビジネスを促進しています。

ソーシャルエッグでは、ソーシャルビジネスを行っている人・社会起業家の記事が他にもたくさん用意しています。ソーシャルビジネスに興味がある方は、ぜひ他の記事も読んでみて下さいね!

よかったらシェアしてね!

この記事の編集者

現在24歳。ソーシャルエッグの編集長。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューや記事制作、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

目次