養蜂から瀬谷区を盛り上げる!山口正斗さんインタビュー

今回は、神奈川県横浜市瀬谷区にて、養蜂事業を中心とした地域活性化を行なっている山口さんにインタビューをしてきました。

  • 地域社会に根付いたソーシャルビジネスを行いたい方
  • NPO法人や一般社団法人を起業したい方

はぜひ、お読みいただければと思います!

目次

プロフィール

【名前】
山口 正斗

【年齢】
24歳(2023年4月現在)

【経歴】
専修大学経営学部 → NPO法人MIKs代表理事、一般社団法人セヤミツラボ代表理事

【携わっている事業内容】
高齢者向けデジタル推進事業
養蜂事業
教育、福祉事業

横浜市主催の講演会で登壇をしていた際の様子

横浜市で養蜂事業!?養蜂を用いた地域活性化とは?

下谷

本日は、地域に根ざした様々な事業を展開している、山口さんにインタビューしていきたいと思います。よろしくお願いします!

山口

よろしくお願いします!

下谷

まず早速なのですが、山口さんが行っている事業内容について教えていただけますか?

山口

分かりやすく纏めると、養蜂を用いた横浜市瀬谷区の地域活性化活動ですね。

ミツバチの育成、花の栽培、景観保護、蜂による受粉、地域の方によるはちみつの瓶詰めなど、養蜂を主体として瀬谷の地域全体を盛り上げようとしています。

山口

ただミツバチを育ててはちみつを作るだけではなく、はちみつを中心に、教育・福祉・農業・高齢者の方などとの繋がりを作っていこうとしていますね!

防護服に身を包みながらはちみつを採る姿は、本職の養蜂家のよう

養蜂事業を始めようと思ったきっかけは、地元で何かしたかったから

下谷

まずお聞きしたいのですが、山口さんはどういったきっかけで養蜂の事業を始めようと思ったのでしょうか?

山口

元々は、何か地元で自分ができることをずっと探していて。生まれと育ちが瀬谷区なんですが、ずっと地元で何かしたいと考えていました。

地元の図書館で、自分に何かできることはあるかなぁと探していた際、ちょうどスマホ教室のチラシを見つけました。当時はスマホ教室ってあんまり普及していなくて、これならいける!と思い始めました。

山口

スマホ教室を始めてみたら、地域の人たちとの繋がりができて、そこから色々地域の課題を聞くようになりました。

瀬谷区にも、貧困、ひとり親、環境問題など様々な課題があるという事を知り、自分の力でもっと地元を良くしていきたいと思うようになりました。

山口

その後、地元の政治家の方と仲良くなる機会があり、そこで養蜂の話を伺いました。話を聞いているうちに、養蜂は農作物の支援にもなるし、環境保全にもなるし、色んな社会問題が解決できそうで良いなと思い、今の活動を始めました。

下谷

なるほど、最初から養蜂をされていたわけではないんですね。

山口

そうですね。最初のスマホ教室は「やりたい!」というより「これならやれそう!」から始めたんですよね。そこでは2人ぐらいしか集まらなかったし、スマホを教えるのが特段好きというわけでもなかったです(笑)

ただ、実際始めてみると、いい出会いや繋がりが得られて、やってみて良かったと思っています。

ミツバチを通してSDGs、小学校での教育、高齢者支援や福祉まで!養蜂を通した多様な活動を紹介!

無農薬野菜に蜂のシールを貼る事で、廃棄農作物をゼロに!

下谷

では、ここからは山口さんが行っている養蜂事業について、詳しくお聞きしていきたいと思います。

まず最初に、養蜂を用いた農作物との関わりについて教えていただけますか?

山口

はい。まずミツバチって、すごく繊細な生き物なんです。農薬を蒔いたら一発で全滅してしまうし、ちょっとした環境の悪化ですぐに死んでしまう。

だから、ミツバチが飛んでいるってことは、その周辺の環境は農薬がそこまで使われていない良い環境であるということなんです。

山口

そこで今試してるのは、八百屋やスーパーに置いてある野菜にミツバチのシールを貼って販売しています。そのシールが付いている農作物は、ミツバチが受粉している農作物、つまり農薬を使っていない農作物ということが分かるんです。

ありがたいことに、蜂のシールが貼ってある野菜は売り残りがないと評判が良いですね。

ミツバチを通した小学校での教育活動

山口

また、最近は小学校で、環境問題やSDGsの授業が増えています。実はミツバチって、SDGsのど真ん中にいる生き物なんです。というのも、ミツバチは植物を受粉し、それが実となり、自然が育まれるからです。

そこで、僕らが地元の2つの小学校で、子ども達に授業を行っています

下谷

小学校ではどんな授業をされているのですか?

山口

ミツバチがいないと自然はどうなってしまうのか?について教えています。

ミツバチがいないと、今市場に並んでいる6割の野菜がなくなってしまうこと、食べ物がなくなってしまうと動物が生きていけなくなってしまうこと、自然がなくなってしまうことなどを教えています。

地元の高校生と一緒に、地元の園芸活動も行っている
下谷

ミツバチがいて生態系が成り立っていること、ミツバチが縁の下の力持ちの役割を担ってることを教えているんですね!他にはどのようなことを教えているのですか?

山口

他には、「環境指標生物」という概念を教えています。これは主にヨーロッパで使われている概念で、ヨーロッパでは「ミツバチが飛んでいる街は自然が豊かな街」と言われています。

そこで瀬谷区も、ミツバチに優しい綺麗な環境の街にしていこうという話をしています。

下谷

ミツバチがヨーロッパでは環境指標生物と呼ばれているのは初耳ですね!小学生がミツバチと触れ合うような体験もあるんでしょうか?

山口

ミツバチは特性として、巣から半径2kmを飛ぶのですが、その2km圏内に小学校があるんです。そのため、小学校の近くをミツバチが飛んでいたりはしますね!

また、小学生たちと蜜が採れる花壇を植えたりもしていますね。

高齢者や福祉との関わる、農福連携スタイル

下谷

高齢者の方とは、養蜂事業でどのようなつながりがあるのですか?

山口

高齢者の方々とは直接養蜂で関係しているわけではないのですが、お散歩の最中に瀬谷区の花の写真を撮って頂いて、写真を貯めて欲しいと考えています。

下谷

花の写真…ですか。どう使われているのか、イマイチピンとこないのですが…?

山口

高齢者の方々に撮っていただいた写真が、2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会に使えるのではないかと考えてます!

この国際園芸博覧会はかなり大きなイベントで、毎年1000万人以上の来客者が見込めるイベントです。そこで瀬谷区で作ったはちみつや、瀬谷区の園芸を広げたいと考えています。

山口

この博覧会にて、高齢者の方々が撮った写真を展示していけたらと考えています。

以前行っていたスマホ教室に来ていた高齢者の方々が、定期的に花の写真を送ってくれていて、ここでも人の縁を感じますね。

下谷

それはすごく素敵なことですね!福祉に関しても何か連携されていらっしゃるんですよね?

山口

そうですね。今ははちみつの瓶詰め作業を、障がいを持っている方にお願いしています

下谷

本当に地域社会全体を、養蜂事業を通して繋いでいるんですね!

山口

自分が始めたこと、やったことがきっかけで影響が広がっていくのが楽しいですね!瀬谷区を歩いているだけで、自分に話しかけてくれる人が度々いて、それがすごく嬉しくてモチベーションになりますね。

養蜂事業を一般社団法人で行っている理由

下谷

スマホ教室と養蜂事業、2つのソーシャルビジネスを行われていますが、それらはご自身で起業して行われたんですか?

山口

そうですね。スマホ教室はNPO法人、養蜂事業は一般社団法人を起業して行っています。

NPO法人と一般社団法人の違い

【NPO法人】
・設立に都道府県からの認証が必要
・毎年の事業報告書の公開義務がある
・事業目的が指定された17種類に制限される

【一般社団法人】
・登記のみで設立可能
・毎年の事業報告書の公開義務がない

山口

スマホ教室は、デジタル推進という形で高齢者にスマホを教える案件を区役所から受けることがあるため、信頼度の高いNPO法人を設立しましたね。

山口

逆に養蜂事業は、地域の様々な課題と事業を絡めていきたかったため、事業形態が制限されにくい一般社団法人を選びました

山口さんがソーシャルビジネスを始める前にしてきたこと、必要なスキル

下谷

山口さんは、学生の頃からビジネスを学んでいたんですか?

山口

はい、大学は経営学部に通っていました。また、おじいちゃんが経営者だったので、おじいちゃんからちょくちょく経営については学んでいましたね。

下谷

そうだったんですね!自分の事業を進めるうえで、必要な人脈はどう作っていったんですか?

山口

色んな所に足を運んで、とにかくビジョンを語り続けました。

ビジョンを語ることで、自分のビジョンに合う人を紹介してもらうことができて。そしたらその人繋がりで、また別の場所でビジョンを喋って、新しい知り合いができて…。その繰り返しですね。

下谷

なるほど。山口さんはどんなビジョンを持っているんでしょうか?

山口

地元で好き勝手できる人間になりたい」です。

瀬谷区で何かしたい、何ができるのかを探しながら行動しているうちに、このビジョンになりました。

瀬谷区で採ったはちみつを持つ山口さん
下谷

今の活動をしていて、特に必要だと感じたスキルや知識は何かありますか?

山口

コミュニケーション能力ですね!専門分野の知識はあったほうがいいけど何より重要なのはコミュニケーション能力。最悪他はなくてもいいぐらいですね(笑)

あとは、ビジョンを持つことも大切だと思います!

ソーシャルビジネスをしていきたい学生は、まずとにかく動くべし!

下谷

最後に、社会課題の道を志す学生へ、メッセージをお願いします。

山口

とにかく動こう!人にやりたいこと話して動こう!

自分のやりたいことまず持つことが大事。そして動こう。想いがあればできないことはないよ!ただ動かないと何も始まらないから、まずは動き出すことが大切だね!

山口

実際、動いてみないと分からないものは多いんです。

僕も最初は、社会課題ってどの地域でも同じような課題があると思っていました。しかし、瀬谷区や他の地域で課題を聞いてみた結果、地域によって課題は全然違うことを知りました。調べたり知識を入れるだけでなく、実際に動かないと分からないことがあるんだなと感じました。

だからこそ、まずは動いてみることが大事だと思っています!

下谷

本日はありがとうございました!
今後のご活躍楽しみにしています!

山口

こちらこそありがとうございました!

まとめ:今できる事からどんどん行動していった結果、多くの地域の人と関われるようになった

今回は、養蜂と地域活性化事業を行っている山口正斗さんにインタビューを行いました。

山口さんは、養蜂を中心に様々な活動を行っています。この様々な活動ができているのは、とにかく自分のできる事から率先して行動に移し、色んな所で経験と人脈を得た結果だと感じました。考えたり悩んでいるよりも、まず動き出すことが大切だと、改めて強く実感しました。

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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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