NPO法人や非営利組織のファンドレイザー!山下さんインタビュー

今回は、新卒でNPOや非営利組織をサポートする会社に就職した山下さんをご紹介します。新卒1年目の山下さんですが、広報、PR、ファンドレイジングという側面で、NPO団体や非営利組織の方に対してサービスを提供している会社に勤務しています。ソーシャルビジネス会社に入社を決めた理由、これまで取り組んできた活動含めインタビューをしていきます!

  • 異文化交流に興味があり、活動をしたい人
  • 就活予定の大学生、進路に悩む高校生

こんな方に読んでいただけたらと思います!

目次

プロフィール

【名前】

山下さん

【年齢】
23歳(2023年3月現在)

【経歴】
立命館大学法学部法学科→ 現職

【携わっている事業内容】
IT×ファンドレイジング事業

様々なボランティア経験を経て、ソーシャルビジネスの世界へ

現在の活動

菊池

では、早速お話を伺いたいのですが、山下さんが現在行われている事業内容について教えて頂けますか?

山下

IT×ファンドレイジング(注1)の事業に携わる仕事をしています。

NPO団体、非営利組織の方に対して、広報やPR面やファンドレイジングという側面でサービスを提供している会社です。

(注1)ファンドレイジングとは、NPO法人をはじめとする民間非営利団体が資金を個人また法人、あるいは助成金などを通じて政府などから集める行為のこと

菊池

その中でも、どのようなポジションでご活躍されていますか?

山下

はい、特に支援者と当事者と団体の窓口になるような制作物をつくる部署でディレクター職をやっています。

新卒1年目ですが、ディレクションや制作進行、お客様に対してどういうことを達成していきたいのかという所を考える仕事をしています。

NPOや非営利組織をサポートする仕事に就いた理由

菊池

山下さん自身、もともと社会課題に関心があったんですか?

山下

そうですね。新卒のキャリアになると社会課題に関心を持つ会社で働きたいなってイメージはもちろんあったけど、そもそもなんで?みたいなところでいうと、学生の時からいろいろと活動してくる中で、自分の中で一つこういう自分でありたいっていうのがありました。

菊池

それは非常に気になりますね。詳しくお願いいたします!

山下

もちろん!
「非営利業界のリーダーたちをサポートできる人でありたい」「力になっている人でありたい」っていうのが、自分のあるべき将来像として一つ確信を持っていました。

特に非営利業界には、「社会をより良くしていきたい」という想いのあるリーダーが多いと思うんですよ。

菊池

例えば、どういう方がいらっしゃいますか?

山下

例えば、「今社会でこんな課題があって、それを解決するために組織や団体を作って活動していきましょう」みたいな。その時の勢いや思いで立ち上げてらっしゃる方が多いです。

山下

でも、会社を経営していくためには、「ファイナンス」や「組織運営」の能力が必要です。ただ、これらの力がないまま起業し失敗してしまう方が多くいるので、そこをサポートできればと思っています。

じゃあどういう人だったら力になれるだろうかと考えたときに、現場でというよりかは、組織運営の観点で力になるべきだなって思いました。

山下

NPOで10年経営が続く確率って、0.1%とか0.05%程度なんです…。そんな厳しい世界だからこそ、良い想いを持っている人を成功させてあげたいなと思っています。

菊池

なるほど。経営的な側面でのサポートは大事ですよね。その考えに至ってから、今の会社を選んだ判断軸はありますか?

山下

人やサービスが会社の判断軸になっていきましたね。

菊池

詳しく教えてください。

山下

まずサービスに関しては、今の会社では、組織運営を成り立たせるために、支援者や活動に参加してくれる人をどうやって集められるかを考える仕事をしています。

一般企業の顧客フローは、サービスを購入して使用してまたリピートして…だと思うんですけど、これはNPOでも一緒だと思っています。寄付をしようかなって検討して「あ、します」ってなって次も来年も…と一緒だと思うので、そういう意味では「マーケティング」も極めようとしています。

菊池

人についてどうでしょうか?

山下

社会課題や世の中の課題に対して、ちゃんと向き合える人がいることですね。

山下

分かりやすい話でいうと、今の会社の部署のメンバーは大体11人くらいいるんですけど、その中のメンバー5人とご飯行ったときに、

「最近の自殺問題って何で起きてるんだと思う?」
「山下さんそれって貧困とか家庭の事情とか?」
「そもそも仕事の環境が問題とか?」…
        
みたいな話をシラフでし始めちゃうみたいな!
「シラフで」ですよ!!(笑)

山下

そこにビジネス的な観点が乗っているから、

「じゃあうちの会社だったら何ができるだろうね。」
「うちの会社の強みはこういうとこだから、こういう形でならできるんじゃない?」

みたいに話が展開されていくんですよね。そういう話をしていると心地いいんです。

菊池

今の会社には、社会課題や世の中の課題に対してちゃんと向き合える人がいらっしゃるんですね。

山下

そうですね。民間でも特に、社会課題に対してちゃんと向き合う人が居て、サービスをする会社に勤めたいとは思っていたかもしれないですね。

菊池

当時、NPO以外の他の企業も検討していましたか?

山下

民間企業も見ていました。内定者インターンとかもしていたんですよ。ファーストキャリアでは、マーケティングや経営戦略のスキルを上げたいと思っていたんですよ!

菊池

それでも民間企業を選ばなかった理由はなんでですか?

山下

はい、そこに特化した会社に行ってみて、内定者インターンをしたら、なんかおもしろくなかったっていうか(笑)

山下

自分がそこで、3年間も5年間も働いている絵が見えなかったんです。そこでようやく、自分が一緒に働く人や理念やビジョンに基づいて、どういうサービスを提供しているのかって結構大切な要素だったんだなって気づきました。

だから「ソーシャルビジネスじゃないと自分が本気で頑張れる環境にならない」と感じちゃいましたね。せっかくやるんやったら、ただ金稼ぐだけとかスキル上げるだけじゃ嫌だって思いました。一石何丁も重ねられるのは、ソーシャルビジネスをやっている会社しかないじゃんって。

社会課題解決に関わる活動をはじめようと思ったきっかけは、大学1、2年次のボランティア経験から

菊池

今の考えに影響を与えたことはなんですか?

山下

確実に一つあるのは、私が大学1、2年生の頃に、様々なボランティアをした経験が根底にあると思っています。1、2年生の頃ってまだコロナじゃなかったんですよ。

1、2年生の時はボランティアサークルにも入っていたし、それこそカンボジアやフィリピンにボランティアに行っていました。それだけじゃなくて、日本国内でもボランティアをしていましたね。災害、子ども食堂、農業、あとはホームレス支援とか。とりあえず様々な事象に興味がありましたね。

菊池

すごい行動力だ(笑)幅広く活動されていたんですね。

山下

助けてあげたいというよりかは、みんながディズニーランドやユニバに行くとかそういう感覚に近くて。なんかおもしろいものがありそうだから出会いに行きたいみたいな。若干のミーハー心もあって(笑)

様々なボランティアをしていたんだけど、行くところ行くところすごい深刻な課題があることに徐々に気づかされていきました。そこでやっぱり社会で起きている課題や事象に対しての「知っちゃったからなあ」って思う気持ちが芽生えてきて、どうにかしたいなって思ったんです。

菊池

なるほど。知ってしまったからには、そのために行動しないとっていう気持ちになったんですね。また正義感がありますよね。

山下

「そこに対して何かできる人ではありたいなあ」と、その時一つ自分の中で形成されたなっていうのがありました。

あとは、その市の現地に根付いている団体のお手伝いとして、ボランティアに行くことが多かったです。自分の身一つで行っても何もやらせてくれないので、仲介してくれる団体を通してボランティアをしていました。

山下

何回か行くと認めてもらえて結構お話させてもらったりとか、やたら酒を飲もうみたいな話になったりもしましたね(笑)

菊池

飲みの場ではどんなお話をされたんですか?

山下

話を聞く中でちらほら見えてきたのが、特に非営利組織の人たちは組織運営に苦労しているということ。組織運営の面で結構ギリギリなところを目の当たりにしました。「団体の代表が失踪しました」とかね。

菊池

それは大変ですね。

山下

でもすごくいい人たちなんだよね!現場の人たちからも好かれていたり、必要とされている人たちが多い。しかも、その人たちがいなくなったら当事者の人たちを救う人が誰もいないんだよね。行政も救えないような、国も見えないところをやっていたりとか。

菊池

民間企業はお金にならないからと、取り組もうとしないですからね。

山下

それでも彼らはやりたくないところをやっている人たちで、すごく尊いのにもったいないなって。

山下

私はずっとボランティアという手段でそこの課題に関わってきてたけど、「なんかボランティアじゃだめじゃね?」みたいな。人手はもちろん足りるかもしれないけど、ボランティアだったらこの人たちのことを救えない、根本の解決はしていないと思いました。

私は団体や個人に限らず網羅的にアプローチしたい思いが強かったから、一つの団体に入ってやるよりも中間支援団体的に広く見たくて、NPOや非営利組織をサポートする仕事に就こうと思いました。

初めて起こしたアクションとは?

菊池

その後初めて起こしたアクションを教えてください!

山下

ビジネス的な能力を高めるために、自分でゼロからイベントをやってみました。ボランティアだけじゃだめだなって気づいたときの初手がそれ。コロナ化初年度で9月あたりにやったかな。

具体的には、イスラム人と日本人の学生との交流会をモスクでやりました。モスクはキリストでいう教会みたいなかんじ。イスラムの人にとってはモスクっていうお祈りする場所があるんです。

ムスリムの人15人、日本の学生15人の計30人でハラル料理を一緒に食べたり、ムスリムの衣装を着たりしました。当時は在日韓国人、レッテル、偏見みたいなところをやろうかなと思っていたのと、ムスリムの人ってすごい偏見で見られることが多いかなって思っていたので。

菊池

どのように始めていったんですか?

山下

モスクのオーナーさんと偶然出会い、
「こういう思いを持ってるんですけど!(山下さん)」
「いいね!僕もだよ!(モスクのオーナーさん)」
じゃあやってみよう!っていう話でしたね。

モスクのオーナーさんに企画書を見せて、「これはありかもだけど、これはムスリムの人嫌うかもあー。」「そうなんですねー!」ってやりながら、みんなから500円ずつもらって1万5000円いただきました。

菊池

やってみてどうでしたか?

山下

やってみてめっちゃおもろかった!!

自分的には、お金を頂いて何かしらの価値を感じてもらって感謝されて…みたいなのが初めてだったから、「やっぱりこれが必要だな」と感じました。今回は小規模だったけど、これを拡大していったらソーシャルビジネスになると思いました。

菊池

特にどういう部分に喜びを感じましたか?

山下

一番嬉しかったことは1万5000円売り上げたことじゃなくて、ムスリムの学生と日本の学生がすごい溶け込みあっていたことかな。

自分の思い描いていたビジョンが目の前にあるみたいな状況がめっちゃおもろいなって思った!自分の思っていることを具現化してみたじゃないけど、まず一通りやってみたことでビジネス的な経験も積めたし、人生楽しかった。これが一番最初だった気がします。

菊池

集客は大変ではありませんでしたか?

山下

結構キャッチーだったからやっぱりひっかかった。USP(注2)がね(笑)

当時コロナで、みんな外に出たいけど出れない想いもあったし、オフラインイベントがちょっと復活してきたかなくらいだったから。そこはうまいこと噛み合ったと思います。

(注2)USP(Unique Selling Proposition)とは、差別化、強みを見つけてあなただから買いたいと思わせること

菊池

オフラインイベントが一番価値が高かった時期だったかもですね?

山下

そうかもしれないです。かつ留学に行けない子や、海外の異文化に触れたかったのに触れられないっていう子も居たのを知っていたから、ピンと来た子に声をかけたらすぐに集まったよ。友達が友達を連れてくるとかもあった。ムスリムに興味ある人って結構ニッチだから数珠繋ぎで集まりました。

山下さんを形成する価値観とは? 幼少期に迫る 

菊池

コンスタントに挑戦されていますが、子どもの頃はどんな子でしたか?

山下

アクティブな方ではないと思っています。むしろインドアだし、できることならソーシャルなみんなが集まる場より家にいたい派!

菊池

もっと詳しく教えてください!

山下

もちろん!小さいころの特性でいうと、受験とかバチバチでやってた。部活も吹奏楽や運動部をやっていたりしました。割と競争社会でしたね。

自分の親が共働きやったからどうやったら喜んでくれるか、接してもらえるのかっていうのは子どもながらに考えていました。自分が結果を残せば残すほど喜んでくれるから、それっていいことなんだって認識するというか。

人と比べたときに「自分がいい方にいたい」「進んでる方にいたい」みたいなのは潜在的についていたかも。そういう意味で周りも頑張っている環境にいさせてもらえたおかげで、みんなやってるんだから私もそれより上に行かないと!みたいな負けず嫌い精神はありました。

菊池

子どもの頃の環境が、今の会社を選ぶのに影響していると感じますか?

山下

そうですね。周りも頑張ってなかったら自分もそんな頑張ってないと思う。今の会社が好きなのも、各々が将来やりたいことを掲げて、そこに対して何をすべきか考えて走っている人たちがいるからですね。だから現状の自分に満足せずに、どんどん次に何をするべきか考えていく自分でいれるんだと思います。

菊池

半自動的に動ける環境に身を置くことって大事ですよね。
自分の将来のために全力で行動して成長している仲間がいること、環境に身を置くことで嫌でも動かざるを得なくなりますね。

今後考えているキャリアについて

今後考えているキャリアについて教えて下さい。

山下

1年後また違うことを言ってるかもしれないんですが…
非営利業界で求められる存在になりたいです!ネームバリューを上げていこうと思っています。

山下

20代の内でしたいこととしては、
NPO業界は知名度が上がっているところではあるので、今の会社でちゃんと事業部長まで上り詰めるのが指標です。それとはまた別で、いちファンドレイザーとして、しっかり実務をさせてもらう経験を積むのがひとつと思っています。直近5年で極めていきたいところです!

ソーシャルビジネスの道を志す学生へメッセージ

菊池

最後にソーシャルビジネスの道を志す学生へメッセージをお願いします!

山下

どうやったらいいかでめちゃくちゃ迷っている人は、まずは行動してみるのがぶっちゃけこの業界早いかなって思っています。それも、自分が一番可能性あるこれかな!って思うテーマに絞って行動してみること。

あと人と繋がってみるのは本当に大きい!!
ファーストステップに迷ってる人は、まず何かに積極的に出てみるだったり、人に話しかけてみるとかはいいと思います。ソーシャルビジネスの業界ってまだそんな広くないから、一人繋がれば数珠つなぎで行けちゃうところもあったりする!

山下

次のステップにいる人は、環境を大切にしてください。
ぶっちゃけお給料をそこまでもらえるわけではないので、それに耐える何か精神力なり体力なりを付けれるような、自己研鑽ができる場所をちゃんと選んでおいたほうがいいと思います。

あとは誰と一緒にやるか、どんな仲間がいるか。「この人といたらワクワクするな」「この人といたら自分のやりたいことが実現しそうだな」とかはめちゃくちゃ大切になってくると思うので、そこの認識だけあるといいのではないかとおもいます。

私がこの会社に決めたのも、社長の話を聞いてワクワクしたからだったので(笑)

菊池

間違いないです!!
自分も、とにかく楽しそうなことをしている人ととりあえず繋がってみたことで掴めなかったチャンスや得られない経験などをしてきました!

当時、何をしたいか明確ではないけど、とりあえず動いてみるの精神で行動してみて、本当に良かったと感じています。

菊池

ここまでインタビューに付き合っていただきありがとうございました!
自分も、就活中ということもあり、就活軸や企業選びで大切な事を学べる良い機会となりました。ありがとうございました!

まとめ:大切なのは、やりたいことが明確でなくても、とにかく動いてみること

異文化交流の活動や、NPOや非営利組織をサポートする会社に就職された山下さんのインタビューはいかがでしたでしょうか?異文化交流に興味がある方、これから就活予定の大学生の方などは、ぜひ今回の内容を将来の参考にして頂ければと思います。

最後に、今回の記事のまとめです。

  • NPOや非営利組織をサポートする会社に就職を決めたのは、続く経営をするために、力になりたいと思ったことがきっかけ
  • 会社選びの判断軸は、人やサービス
  • 大学1、2年時のボランティア経験が社会課題解決に取り組もうと思ったそもそものきっかけ
  • 異文化交流のイベントから集客などの経営に必要な力を学ぶ
  • ファーストステップに迷ってる人は、まず動いてみる
  • 次のステップにいる人は、どんな環境で誰とやるかを考える

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この記事の編集者

ソーシャルエッグメンバーの菊池と申します。現在は個人でアパレルブランドを開設して、服のデザイン・販売を行っています。ソーシャルエッグでは、皆さんに有益な情報を届けられるように責任持って頑張っていきます。

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