接客業の夢を持つ吃音の店員が手がける「注文に時間がかかるカフェ」

吃音(きつおん)とは、言葉をスムーズに話せない障がいのこと。特定の音を発するのに時間がかかる人や、同じ音を何度も繰り替えす人、特定の音を引き延ばして発音する人など、症状は様々。全国に120万人程度の患者がいると言われている。

代表の奥村氏も吃音当事者であり、人付き合いや就職活動でとても苦労したそう。奥村氏によると、接客業をやってみたいが、吃音を理由に断念してしまう人はかなり多いと言う。こうした当事者を支えるため、そして多くの人に吃音を知ってもらうため、奥村氏は「注文に時間がかかるカフェ」を立ち上げた。

「注文に時間がかかるカフェ」は、吃音を持った方が店員を行う、移動型の非常設カフェだ。日本全国を回りながら開店していて、店員のマスクに「最後まで聞いてほしい」「少し時間がほしい」など当事者が求めていることが書かれている点が特徴だ。吃音は人それぞれ症状が異なるため、顧客はマスクの文字を見て、その人に合った接し方をしてあげることができる。また、顧客が当事者の方と会話をすることで、吃音に対する理解を深めることができる。

ソーシャルビジネスの観点から見ると、「注文に時間がかかるカフェ」はカフェの売上、月額500円~のサポーター制度、呼ばれた場所での出張開店によって収益を立てている。固定の店舗を持たないことで固定費を抑え、あくまで「接客業体験を目的としたボランティア」として店員を雇っているため、人件費もあまりかかっていないと思われる。(経営側のデータは公示されていないため、あくまで筆者の予測)

現在は「当事者が接客業で働くきっかけづくり」として当カフェが役立っているが、今後は当事者が継続して働ける場になっていき、当事者を支えられる場になればと思う。

注文に時間がかかるカフェ
注文に時間がかかるカフェ 注文に時間がかかるカフェのスタッフは全員吃音者。接客に挑戦することで自信をつけ、吃音について知らない人との交流を通して吃音への理解を広めます。
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この記事の編集者

下谷 航希のアバター 下谷 航希 編集長

現在25歳。大学3年生の頃に子ども食堂の運営に携わり、社会貢献をしている人たちが大変な思いをしながら社会貢献活動をしていることを知る。その後、地方創生ツアーやメンタルケアアプリ制作などを行い、2023年に社会課題解決に尽力する人たちの課題を解決するメディア「ソーシャルエッグ」を立ち上げ。現在はソーシャルエッグのインタビューやメディア運営、学生へのソーシャルビジネス講座などを行っている。

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